「神童くんの告白、断ったんだってねぇ?」



噂がまわるのは随分早いもので。誰が広めたとかそんなくだらない事は一切興味はないけど…。
こうして自分の時間が奪われるのは酷く腹立たしい。


昼休み、私の机にやってきた数人の女子。彼女らに半ば無理矢理屋上に連れてこられた私。
最初は笑顔だったのに、今はその醜い…おっと失礼、ブサイクな顔を(ん?変わらないって?…少しは棘がないでしょう?譲歩したほうよ、これでも)更に酷く曲げて私の前に立っている。(まあ恐らく教室で笑顔だったのは神童くんの目があったからだろう)


屋上の壁に押し付けられて、私を睨みつける彼女ら。こういったことは初めてではないので、動揺なんてしていない。
私が一部の女子に良いように思われていないことくらいは知っている。理由は…きっと私がこんな性格だから。
まぁ私自身、自分が万人に好かれるような性格ではないと自負しているから別に傷ついたとかそんなことはないけどさ。

まぁ、いつもは意味無く呼び出されるんだけど…今日は違うみたいだ。
とにかく話は冒頭に戻るっと。



「あんたみたいなブスが神童くんをフるなんて、何様なのよ!」
「神童くんがどれだけ傷ついたと思ってんの?」


ああ、こいつらは馬鹿だ。
それじゃあまるでフるなと、付き合え、と聞こえるじゃないか。コイツらは神童くんのことが好きなんでしょう?自分の発している言葉の意味もわからないのかな?神童くんを庇いたいのか自分を守りたいのかハッキリしろよ。
…仕方がないので指摘してあげることにした。



「付き合ったとしても文句言うんでしょう?君たちは何がしたいの」
「っ、う、うるさい!」

バチン、
頬に痛みが走った。それと同時にぐらつく身体。ハタかれ慣れてる(こういう言い方は少し変かもしれないが)から驚きはしなかったけど、今回はちょっと力が強かったのか、身体を支えることができずに地面に倒れこんでしまった。受身が取れずに肘から落ちてしまった。長袖だったが、擦れたみたいでじん、と痛みが広がった。



「ハッ、いい気味ね」
「…」
「あらぁ?ショックで何もいえないのかしらぁ?」
「…それで?」
「は?」
「それで?」


下から思い切り睨みつけると、彼女たちは少しだけ怯んだのか理由をつけて(ひじょうに下らなかったのでカット)屋上を去っていった。
はぁ、面倒くさい。私はゆっくりと立ち上がり、制服の埃を払って保健室へ向かった。












「それで?」



そう言って女子を睨みつける苗字。俺はマジでこいつを好きになった神童がわかんねぇ。


実を言うと俺、倉間典人は先ほど屋上であった出来事を全て貯水タンクの上から見ていた。
まあここに居合わせたのは偶然なんだけどな。かといって、助ける気なんてさらさら無かったから、一人楽しく傍観してたワケ。


女子って怖ぇな。
男がいるとこではキャイキャイ…俺からすればうぜぇだけだけど、まあ何かと取り繕ってるのに、こういう場面では人が変わったようになる。男のことになると余計にひどいんだな。ウケる。

つーか女子たちも女子たちだけど、苗字も馬鹿だろ。
普通あんな言い方したら余計に反感買うってことがわかんねぇのかよ。虐められてるって自覚あんのかよ。


ホント、わけわかんねぇ女。
何で神童は苗字なんて好きになったんだ?マジわけわかんねぇ。…まあ、顔とかスタイルは…良いと思うけど、もっと可愛い性格のやつとかいるだろ。




「苗字も神童も、みんな、ワケわかんねぇ」




20111204



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -