「はあ?誰がよ〜いお茶を買ってこいと言いましたか?前に教えた筈ですよねえ、俺は綾鷲のほうが好きだって」
「す、すみません!(んなこと聞いたことがないよー!)」
「何か文句でもあるんですか?」
「あ、ありませえん!すぐに買いなおしてきます!」


今日も今日とて速水さまは絶好調です。








お茶事件の放課後、部活の休憩時間。何故かイライラしている速水さまに部室塔の裏に呼び出されていた。
建物の壁に押し付けられて、速水さまの手が私の顔の横にあって…逃げられないかんじ。

そして先ほども言ったけど、イライラしている速水さまは私のことをドブネズミを見ているかのような目で見てくる。


「俺に、何か言うことはないんですか?」
「…え…あ、え?」
「何度も言わせないでください、何か言うことがありますよねえ?」
「言う、こと…?」


私はまた気付かぬうちに何かやらかしてしまったのだろうか。
急いで今日起こったことを振り返る…が、何もしていないように思う。お茶の件でひじょうに速水さまを怒らせてしまったが、あれは解決済みだ。…多分。…んー…、たぶ、ん。

あああああああ、もしかしたらお茶事件のこと、まだ怒ってるのかもしれない!
だ、だったら謝ったほうが…いいよね!


「す、すみません!」
「理由は?」
「…お茶を、間違えて買ってしまってすみません」

そう言って頭を下げると、速水さまはポカンとした後に思いっきり顔を歪めた。…え、え?


「あなた、馬鹿ですか?」
「よく言われます(速水さまに)」
「…お茶の、後のことですよ」
「お茶の…後?」


お茶の後、ってなに?
私が首を傾げていると、速水さまはため息をついた。


「じゃあ、もう一度思い出してみてください。俺にお茶を買いなおしに行くよう言われてからのことです」
「お茶を買いなおしに行った時、から…?」


確か、あの後自販機に行ったときに…知らない男の子に声をかけられて、焼却場まで連れて行かれて…付き合ってくださいって言われたけど今日部活だからって断ったんだよね…?
そこまで話すと、速水さまはまたポカンと表情を崩した。な、なんか今日ポカンとして可愛いなあ…


「は、はあ?部活だからって、断った?」
「はい…、明日だったら付き合えたのにな…」
「…あなたは少女マンガから出てきた天然の…いや、言っては悪いですが馬鹿なヒロインですか」
「は、え?」
「男の言った事…どう考えても告白でしょう」
「え、こ、告白!?」

速水さまの言葉に、ボボボっと顔が赤くなる。
え、あ、え…だとしたら私最悪じゃん!お店とかに付き合うとかの付き合うかと思っちゃったよ!

すると、私のそんな様子に舌打ちして、速水さまが私を睨んできた。ハッ、馬鹿だ私!速水さまの前で別のことを考えるなんて…!


「嬉しそうですね」
「え、そ、そんなこと…」
「もしかして、先ほどの男のことが好きなんですか?」
「え?」
「…だったら、付き合えばいいじゃないですか」


え、速水さま何言ってんの?というより、何で速水さまは私が告白されたこと知ってるの?
なんだか混乱してきた…、どうしよう、どうしようどうしようどうしよう…そう考えているうちに、速水さまが目の前からいなくなっていた。



「ど、どうしよ…」




20110911




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