私と鶴正さまが付き合い始めてから、私の生活は大きく変わった。
前以上に鶴正さまと一緒にいる時間が増えたし、なんだかとってもとっても幸せな気持ちが続いている。

鈍感なお兄ちゃんにも、なんか最近楽しそうだなって言われるくらい、表に出ているみたいで。
「あはは、リア充で悪かったねえ。羨ましいでしょお〜?」なんて、彼女がいないお兄ちゃんに言ったら本気で殴られた。

そしてその話を鶴正さまにもしたら、物凄い勢いで引かれた。


「俺を話のだしに使わないでもらえますか」
「だ、だって嬉しいんですもん…!」
「嬉しい…?」
「…つ、鶴正さまとこんなに一緒にいられて…私、すごく幸せだなあ…って」

そう言って微笑むと、鶴正さまは一瞬だけ俯いて、すぐに顔を上げる。その表情は、歪み。


「調子に乗らないでください」
「ひいっ、すみません!!」
「……」


ふと、窓の外を見て目を細める鶴正さま。ああ、横顔もかっこいいなあ…。
こんなにかっこいい男の子の彼女が、私みたいな中途半田でいいのかしら。ああ、悪いね世の中のバンビーナたちよ。












部活が終わって、その帰り道。
偶然にも帰る方向が一緒の私たちは、手を繋ぎながら通学路を歩く。へっへっへ、ついに昨日鶴正さまと手をつなぐ事に成功したのだ。

繋がった手から、鶴正さまの温かい体温が伝わってきて…。この温かさに触れられるのは自分だけの特権なんだって思ったら、何だか顔が緩んでくるなあ…。
私はこの通り、幸せ真っ盛りなんだけど…でも、なんだか鶴正さまはそうでもないみたい。まあ、人によって感じ方は違うだろうし、私は全然平気。脳内録音テープの中に、彼が私に言ってくれた「俺も好き」って言葉だって録音してあるもんね!

ぎゅっと鶴正さまの手を力強く握る。すると、意外にも(って、失礼だね。ごめんなさい)鶴正さまは何も言わなかった。それ所か、鶴正さまも私に触れる手にぎゅっと力を入れてきた。


あああああ、今とっても幸せだよ…!
鶴正さまと一緒にいるだけで、満たされていく何か。彼も同じように感じてくれていればいいのにな。あれ、そういえば…


「あ、鶴正さま、今週の日曜日の部活は…無いですね」
「…そうでしたね」
「そ、れで…あの、その…」
「……」
「……」
「…、はあ。どこか出かけますか?」
「!!は、はいっ!」


うわああわあああ!言ってみるもんだね!(言ってないけど)
デートの約束を取り付けた私は、更にテンションが高まる。ああ、これなんて有頂天ホテル…違うけど。ああ、もう嬉しい何も考えれない!

デート、デート…これって初デートだよね?あ、これまでに行ったお買い物は回数に入ってませんよー。恋人になってからの初めてのおでかけ、初デート…!
ああ、神様…中途半田な私が、こんなに幸せでいいのでしょうか?これは半田じゃないよ!全田だよ!幸せすぎて中途半田から全田になっちゃったよ私!


するとあまりにも浮かれているのが、表に出ていたのか鶴正さまに頭を物凄い力で叩かれる。


「調子にのるな」
「命令系?!」
「…浮かれているので、釘を打ったほうが良いんでしょうか…ね?」
「すみませんでした」





20111016




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テーマ「人外ファンタジー」
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