死ネタ







一目惚れだったの。太陽の光にあたってキラキラと輝くその髪も、純粋無垢なその瞳も、全部全部好き。まるでお話の中の王子様みたいで、最初に見たときとっても驚いちゃった。
サッカーがとても上手くて、そしてちょこっとだけお間抜けさんなところもまた、魅力的な男の子。とっても好き、大好き。



「っ、君は…なんでそんなに、」
「?どうしたのリュゲル」
「…なんでそんなに、あからさまなんだ」


顔を真っ赤にしながらそっぽ向くリュゲル。私、何かおかしなこと、言ったかしら?私はただ、リュゲルへの想いをありのまま、私の想いの大きさ分伝えただけ。
そう言うと、リュゲルはさらに顔を赤らめた。元々、白すぎるくらいの肌だから赤らみがとっても目立つ。可愛いなぁ、可愛くてかっこいい私の王子様。


「普通は、…す、好きとかそういうのは、隠すものなんじゃないか?」
「そうなの?」
「あ、ああそうだ!恋とはじっくり、時間をかけて進めていくものだ。自分の事も知ってもらわなくてはならないし、無論自分のことも知ってもらわなくてはならないだろう?」
「なら、尚更私は人より急がないといけないね」
「それは、何故だ?」
「だって、私の寿命は今日で終わるの」
「き、今日!?」


リュゲルは逸らしていた顔をバッとこちらへ向けてきた。その表情は、驚きと焦りに満ちている。私は彼がそんな顔をする理由がよく分からなかった。だって、ラトニーク人にとっては当たり前だから。


「だから私は、恋に生きるの。後悔したくないの、自分の気持ちに嘘をつかず、等身大の私をぶつけるの」
「君は、悲しくないのか?」
「ぜんぜん、悲しくないよ。私、幸せだもん。私にはあまり時間がないのに、この広い広い世界、いや、広い広い宇宙で、リュゲルに出会えたんだよ?これってすごいことだよね。全然違う星に住んでるのに、ほんとに、運命って感じだよ」
「名前…オレは、」
「なにも、言わないで?」
「……」



全部、わかってるよ。
これは私の一方的な感情が、リュゲルに迷惑をかけてることくらい分かってる。でもね、でも、夢心地のまま、終わりたいの。一瞬の恋、たった一度の恋だから。わがままでごめんなさい、私は、自分のことしか考えていない、魅力のない女の子。それでも、それでもこの気持ちには正直でいたいから。

足の、感覚がなくなった。その瞬間、視界が、世界がぐんと下がる。


「!!」
「大好きだよ、リュゲル。あなたと出会えてよかっ、た」
「名前…!」
「………さよなら」
「待って、」
「オレはもっと君のことを、」
「君の、ことを知りたかった」
「オレのことをっ、知ってほしかった」




リュゲルの最後の声を聞いた時、私はふわふわと宙に浮いていた。こんな、一方的で迷惑な女のために、涙を流してくれる彼を見て、申し訳なさと嬉しさで頭がパンクしてしまい、パチン。溶けて消えてしまった。




20140121


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