暗い表現があるので注意











お菓子の国で暮らすのが夢なの。大きくてカラフルな傘を持ってふわふわのマシュマロの上を歩くの。ガンダレスと二人で歩くの。
ふわふわ、ふわふわ。お腹が空いたら途中で立ち止まって、甘くておいしいチョコレートの木を折って食べるの。喉が乾いたら噴水から噴き出すミルクティーを飲むの。え、ミルクティーじゃなくてラズベリージュースがいい?もう、まったくガンダレスは子供だなぁ。仕方ないから、いいよ。

ずんずん進んだらね、たくさんのキャンディがつまったベッドの上に寝るの。空に浮かぶケーキを手につかんで、たくさん頬張るの。空の色は可愛いピンク色がいいなぁ、ピーチといちごの香りがするの。甘い甘い世界だよ、この世界には私とガンダレスしかいないの。…え、リュゲルくんも一緒がいい?う〜ん、保留で。


ゴホゴホッ


空気が悪いなぁ。キャラメル色の蓋で塞いじゃいたい。嫌い、きらいきらいきらい。怖い。怖い。この世界が嫌い。早くお菓子の国に行きたい。






あのね

あのねガンダレス、もしかしたら私、お菓子の国に行けるかもしれないの




「え、ホント?名前まじすっげー!!オレもいきたいっ!」
「う〜ん、ガンダレスにはまだ早いかなぁ」
「なんで!?オレたち、同い年じゃん!あっ、もしかして独り占めしたいのか??ずるい!ずるいぞっ!あ、でも名前、さっきはオレと一緒行きたいって言ってなかったか?」
「ガンダレスは…いつか、ね」
「五日?」
「もう、おばかさん。いつかっていうのはもっと先。ガンダレスが、おじいさんになったら、だよ?」


お人形のようなガンダレスの頭を優しく撫でると、彼は目を細めて気持ちよさそうに笑う。
ガンダレスはとても優しい私の騎士さま。一緒にお菓子の国を歩くの。いつか、いつか歩くの。ゴホゴホ、ゴホゴホ。空気が、悪い。ミルクを飲みたい、雲から湧き出たミルクをたくさん飲みたいの。はやく飲みたいの。



「ねえ、ガンダレス。お願いがあるの」
「なに?」
「あのね、ガンダレスがおじいさんになっても、私と一緒にお菓子の国を散歩してくれる?」
「当たり前じゃん!オレ、名前のことが好きだし、すぐにでもお菓子の国に行きたい!」
「……ありがとう、でも…」
「わかってるって!い つ か だろ?」
「…うん、そうだよ」
「名前こそ忘れるなよ?」
「忘れないよ」




もうすぐこの白塗りの壁とはおさらば、動かない両足とはおさらば、制限された食生活からおさらば。
ステキなドレスはない私は寝巻きのお姫様。軽い軽い両足を動かして、お菓子のくにに行くの。ましゅまろのみちを歩くの、おいしいものがたくさんだよ。ずっと、まってるよ。わすれないでね?だいすきでだいすきな、ガンダレス。




20140114




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テーマ「人外ファンタジー」
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