昨日と同じ時間、同じ場所。
約束の通り部室に行くと、真帆路くんがいつものように無表情でこちらを見た。

真帆路くんが私に近づいてくる。…その瞬間、昨日考えたことを思い出してしまった。
彼の手が私の肩に触れると同時にビクリと震える体。真帆路くんが少しだけ表情を歪める。


「…なんだ」
「……っ、なんでも、ない」
「…………」


私が首を横に振ると、真帆路くんはそのまま何も言わずに続ける。
昨日と同じようにソファーに寝かされ、覆いかぶさられる。そして、ゆっくりと私の首に舌を這わしていく真帆路くんを見てられなくて、私はぎゅっと目を瞑った。




「ん、っ…ぁ」
「……」


私のナカを掻きまわす真帆路くんはやっぱり無表情で、何一つ漏らさない。
私一人の喘ぎ声が、虚しく響くだけだ。

真帆路くんは私との行為にすっかり慣れてしまっていて、私の良いところばかりを集中的に触るから、息をつく暇さえない。
そして、何かが上がってくる感覚のあと、情けなく喘ぎながら、私はイった。


息を整えていると、真帆路くんがベルトを外し始める。そんな様子をぼうっと見ながら、私は本当にこれで良いのか、と考える。
このまま、この関係をズルズルと続けても、私にとっても真帆路くんにとっても良いことなんて一つもない。どこかで、きちんと終わらせないといけない。



「…おい」


低い、淡々とした声に反応して上を見ると、真帆路くんが私のことを見下ろしていた。
足を持たれて、真帆路くんが私のナカに熱を持ったそれを挿入しようとした時だった。私は、無意識に彼の胸を押していた。それと同時に、私の目からボロボロと涙が零れ落ちる。おかしいな、泣きたいわけじゃなかったのに。


「…!」
「っ、ご、めん真帆路くん、…ごめんなさい、ごめんなさい」


ひたすら謝り続ける私の上から、真帆路くんは何も言わずに退いてくれた。
それから彼は衣服を整え始める。

…ああ、終わった。
この悲しい関係も、真帆路くんとのつながりも、全部終わってしまった。


何が正しいのか、わからない。私は、どうすればいいのか、わからない。




真帆路くんに乱された服も整えずに、部室のソファーの上で泣き続ける私。
すると、ふわりと私の上に何かがかかった。…タオルだった。…そして、これをかけてくれたのは…、やはり真帆路くんだった。

ジャージを着た彼は、こちらを見ずに部室のドアを開けた。






「悪かった」






去り際に小さな、彼らしくも無い震えた声で言った。
私がその言葉に弾かれたように顔をあげると、既に部室のドアは閉まっていて、真帆路くんの姿を見ることが出来なかった。







「どうして…、どうしてっ…」








ポツポツと、雨が降り始める。
ポタポタと、涙が零れ落ちた。








20111228



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