(ゲームネタバレ有り)














しゃぼんだまとんだ

やねまでとんだ

やねまでとんで

こわれてきえた









「太陽くん…何、歌ってるの?」
「知らない?シャボン玉だよ。ほら、これ見て」


病室にやってきた名前に、手に持っていた小さなプラスチックのケースを見せる。
ショッキングピンクのケースには蓋がついており、それをくるくると回すと蓋の裏に棒がついていて、先端には丸い小さなわっかが付いている。その先端には透明な液体が付いている。

僕は病室の窓を開ける。爽やかな風が室内に入ってきて、とても気持ちがいい。
そのまま僕はプラスチックケースに何度か先端をつけて…それから優しく吹いた。

スゥっと流れるように出来たらくさんのしゃぼん玉たちに、名前がわあっと歓声をあげる。



「すごい、綺麗だね。しゃぼん玉、どうしたの?」
「病院の看護婦さんがくれたんだ。何個か頂いたから、僕にもおすそ分けだって」
「へえ、それにしても綺麗」

名前が嬉しそうに笑いながら窓の外を見る。するとたくさんあった筈のしゃぼん玉は、ほとんど消えていた。彼女は、少しだけ残念そうに息を漏らす。


「しゃぼん玉って、儚いなって…思ったんだ」
「そうだね…」
「まるで、僕みたい」
「…!」


驚いた様子で、名前が僕のことを見てくる。
そんな彼女に笑いかけて、僕は考えるんだ。


シャボン玉の歌詞ってね、とても悲しいものだなって…僕は思った。
僕にはまるで、しゃぼん玉は命で、それが消えたって、そう聞こえるんだ。この歌の二番ってね、しゃぼん玉は飛んでないんだ。産まれてすぐに、こわれて消えたって歌詞なんだ。
僕は産まれてすぐには消えなかったけど、今は一番の歌詞みたいに、屋根まで飛んだら消えちゃうのかな?


そう聞くと、名前は表情を歪めて、泣きそうな顔でしゃぼん玉を持っている俺に言うんだ。




「太陽がっ…」
「……」
「太陽が、消えないように…私が、しゃぼん玉をつくる。ずっと、ずっと、途絶えないようにつくり続けるから」


だから…
そう続けた彼女の瞳から、溜まっていた涙が零れ落ちた。



「そんな悲しいこと、言わないで」
「…ごめん、泣かないで。僕が悪かったよ、ごめん名前…」





かぜかぜふくな

しゃぼんだまとばそ






僕が消えてしまわないように、繋ぎとめてくれ






20111228



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