青山くんってさ、ホント魅力的だと思うんだよね。クールだけど、とっても優しくてかっこいいしたまに見せてくれる笑顔も素敵だし涼やかな瞳も吸い込まれるような感じだし良いにおいするしいつも冷静だから頼りになるし…あ、頼りになるといえばこの前の調理実習でみんなが出来なかったささみの筋取りだってこんなの出来て当たり前って感じでやってのけたし、字が綺麗だからノート見せてもらった時ホント感心しちゃったし真面目だからやることなすことがもう完璧で、でもたまに見せるどこか抜けたところがまた魅力的で…七助的にはどう思う?


「は、はあ…」

俺の前の席を陣取り、俺に向かって青山について思うことを話し始めた双子の妹の名前。…はあ、まあ…。なんというか青山、愛されているな。
名前は青山にお熱だ。…まあ、先ほどの話を聞いていたのなら想像つくと思うけど。自分の妹が自分の親友…といってもおかしくないくらいの友達と付き合っているなんて、俺的にはすっごくすっごく微妙なんだけど…まあ、二人が幸せならそれでいいか。

すると、ガラリと教室のドアが開いた。今は放課後なので、俺たち兄妹しかいなかったんだけど…このタイミングで現れるとしたらあいつしかいなかった。ああ、ほら。
俺の目の前にいたはずの名前が消えていた、否、物凄いスピードでドアの方へ向かっていったというほうが正しいか、ウン。

視線を向けると、無表情の青山に抱きつく名前。まあ言いたいことは山ほどあるけど、とりあえず青山、感情を表に出そうか。



「委員会お疲れさま!」
「ああ、お待たせ」
「ううん全然待ってない待ってない!」
「そう?…一乃も、お待たせ」
「あ、ああ…」


そのまま、俺たちは3人で帰る。…ああ、わかってるさ。俺が すごく 場違い って事くらい!
その事を以前2人に伝えたことはあるにはある。…だけど、2人揃って俺が言うことを(正確には俺の思い)理解できていないみたいで…。揃って「何で?」と返された。

そんなこと言われてしまったら、抜けるに抜けられないだろう?用事が出来た、と嘘をついて先に帰ってもらおうとしても「待ってる」他の友達と帰ると言っても「やだ」…。俺、2人に愛されてるのかイジられてるのか、時々分からなくなるんだ。

まあそれはさておき。…帰るだけだったら、いいんだ。ああ、帰る「だけ」だったら。「普通」に帰る「だけ」だったら!
青山と名前は無自覚馬鹿ップルというやつだ。誰がいても構わずにイチャつき始める。そう、兄で親友な俺がいても、だ。

道中、2人で手を繋ぐのは構わない。だけど、問題は名前の家。…一乃家に着いた時だった。
その光景を始めてみたのは、名前と青山が付き合い始めてちょうど一ヶ月が経った時だったと記憶している。

小さな門を開けて、俺は家の敷地内に入る。だけど、名前が中々後を追ってこない。そこで、ふと俺は後ろを見た…。そう、見てしまったんだ。
まだ、まだ俺が家に入っていないのに、青山と名前はキスをしていたのだ。口で。口と口で。そんな姿の妹と親友を見て、俺はあんぐりだ。あんまりだ。ショックだ。それはもう色んな意味で。

次の日も、そのまた次の日も俺が家に入っていないのに照れもせず口付けを交わす馬鹿ップルたち。もうホントいい加減にしてほしいです。
だから俺は家についたら物凄いスピードで家の中に入るという忍者も泥棒もビックリなスキルを習得しました。

今日も俺は、2人を置いてすぐに家の中に入り込んだ。「名前、好き」ドア越しから微かに聞こえる青山のビックリするくらいの甘い声。あいつもあいつで、名前のことを溺愛している。この前だって、電話で数時間ノロけられた。しかも本人はノロケってことに気付いていなかった。

俺はヘタヘタと座り込み、運動靴のヒモを解く。すると、ドアが開いて名前が入ってきた。


「ねえ、何で最近七助はすぐに家に入っちゃうの?」



ああ、畜生この無自覚馬鹿ップルめ!






**
どんな青山サンも好きですけど、初期の水鳥ちゃんを華麗にスルーしたクールな青山さんが一番好きなのです。



20111010





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