夏休みに入っていたので、学校にもいかなくていい。
習い事なんてしていない、友達と遊びに行く約束をしているわけでもない、宿題は…まだ終わってないけど今はやる気が起きないの!

ということで自宅のソファでゴロゴロ。お部屋はエアコンでギンギンに冷やしています(だって暑いのは嫌でしょ?)
あーあ、こんな調子で夏休み終わっちゃうんだろうな。何もしないで時間が経つのよきっと、あーあ…つまんないつまんない。




冷凍庫で冷やしていたガルガル君(ソーダ味)を食べながら、午前中に放送されている幼稚園・小学生向けの番組を見続ける。すると玄関のチャイムが鳴った。時間は午前10:30。この時間に誰か来るとすれば、訪問販売くらいだろう。と思い居留守を使う。

するとピンポンピンポンピンポーンと連続してチャイムを鳴らす訪問者。おいコラ、3回目わざと溜めて押しやがっただろ。


あまりにも喧しかったので、玄関まで行ってドアを開けるとそこにいたのは恋人の青山俊介だった。
彼は少しだけ眉を顰めて、「やっぱり居留守だった」と言いながら家に入る。待て待て、入っていいと許可した覚えないぞ。

ズンズンと中に進んでいくマイペースな青山を追いかけてリビングまで行くと、彼は呆れたようにテレビ画面を見ていた。


「子供向け番組見てたの?」
「だってこの時間おばさま向けのしかやってないんだよ?ほら」

チャンネルを回すと、地域の情報番組やニュース、料理番組、天気予報、エトセトラ…
どや、と青山を見るとやはり彼は呆れたように私を見る。というか…


「何しに来たのさ」
「暇してるだろうと思って来てあげた」
「何か上から目線だな」
「それにしても寒くない?クーラー何度に設定してるんだよ」
「20度」
「は?嘘だろ?」


青山はすぐさま私からエアコンのリモコンを奪って温度を上げる。ああー、何すんのさ。せっかく快適に過ごしてたのに!
温度を下げた後、リモコンを私から離れた場所に置いた青山は厳しい顔で私を見る。


「お前風邪ひくぞ?」
「だって暑いんだもん」
「それにこんなに…さ、寒い格好してアイスなんか食って」
「だって暑いんだもん」
「そもそも、クーラーの温度は28度くらいでちょうどいいんだよ」
「え、ムリ」
「はあ…」


すると青山はおもむろに着ていたパーカーを脱ぎ、私に渡した。なんだよ、ハンガーにかけとけってか?
中々受け取らない私に痺れを切らしたのか、青山は立ち上がり私にパーカーを被せた。…え?


「…タンクトップにショーパンとか、駄目だろ」
「あれれ、もしかして青山さん照れてる?」
「う、うるさい」


先ほどまで青山のペースに付き合わされたんだ。今度はこちらのペースに巻き込んでやろう。
私は青山の背後にまわり、ぎゅっと抱きついた。跳ねる青山の肩、私は甘えるように彼の背中に縋り付いた。


「ちょ、はなれ…」
「あはは、青山焦ってる。可愛い」
「うるさい!ちょっと、離れないと怒るぞ!」
「というか勝手に家に来たのは青山じゃん。私がどんな格好してようと文句言われる筋合いは無いと思うんだけど」
「…はあ」


青山が大きなため息をつく。そして、くるりと方向転換。青山と私は向き合った。
彼の顔が目の前にあって、ドキリと胸が跳ねる。


「普通彼氏が来たら、着替えるだろ」
「で、でも暑いじゃん」
「それに、そんな格好でくっ付いて。…もしかして誘ってる?」
「ち、違うよ馬鹿!」
「あれ、顔真っ赤。もしかしてまだ暑いんじゃない?」


ニヤリと笑いながら、先ほど自分が私に被せたパーカーを剥ぎ取る青山に、私は色んな意味で体が熱くなるのを感じた。









なんて素敵で可愛いの様に提出させていただきました。ありがとうございます。

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