浜野はいつも唐突だ。いつも何をするにしても突然で、今日釣りに行くぞーとか今から買い物に行くぞーとか、そんなことは日常茶飯事である。
今日も、浜野の「アイス食べに行きたいな!」という言葉により、私たちは部活が終わった後制服のまま商店街を歩いていた。


「つーか部活終わりにアイスとか…俺らは女子か」
「いいじゃんいいじゃん、それに名前もいるしさっ」
「帰宅途中の飲食は禁じられて…」
「いいじゃんいいじゃん速水!それよりさ、今日行くアイス屋って人気だから結構並ぶんだろ?夕飯間に合うかな〜?」
「もう夜も近いし大丈夫でしょ。それより楽しみだね〜、雑誌に載ってたからきっとおいしいんだろうなぁ…」


今日の朝コンビニで買ったきた雑誌を4人で読み漁っていると、オススメのお店紹介のコーナーに美味しそうなアイスのお店の記事を発見した。女性に人気のアイス屋で、平日の昼間でも人が並ぶほどおいしいらしい。なんと稲妻町の商店街のはずれにあるみたいで、行ってみることになったのだ。

倉間はあまり乗り気じゃないみたいだが、着いてきてるあたり気になるのだろう。速水の言う事はもっともだが、放課後の間食は今に始まったことではないのでそこは置いておこう。
私と浜野は超ノリノリ。部活後で疲れていることもあり、甘いものが欲しくて欲しくてたまらない。


やはり夜が近いこともあり、雑誌で見たより行列はできてはいなかった。
私たちはOLや女子高生たちに交じり、談笑しながら並ぶ。お店の看板の下にあるメニューを眺めていたら、よだれが垂れそうだった。

やっと私たちの番になり、一人一人注文していく。
クッキーバニラかベリー系で悩んだけど、結局クッキーバニラにした。たべたかったけど…まあまた来ればいいよね。

私たちはそのまま近くの公園へ向かう。そして、ブランコに座りながらアイスを楽しんだ。



「う〜ん美味しい!」
「確かに、雑誌に載るだけはあるよな〜。あ、名前一口!」
「ん」
「サンキュ、…う〜んバニラクッキーも美味いな」
「バニラクッキーじゃなくてクッキーバニラ」
「どっちでも変わらないと思いますが…」


浜野のマンゴー味と交換して食べていたら、倉間が何か言いたそうな目でこちらを見てくる。
どうしたのかと聞くと、なんだか少し不機嫌そうにこちらを睨んできた。


「お前らよくそんな恥ずかしいコトできるな」
「?どういうこと?」
「付き合ってもいない男と女がアイス交換してそのまま口つけるとか…よくそんなことできるよな」
「ああ、つまり倉間は間接キスも恥ずかしい初心な男の子なんだね」
「ああなるほど、ちゅーか名前との間接キスなんて特に何も感じないけどな」
「失礼な奴だな!」
「ま、まあまあ…」
「速水は何買ったの?」
「俺はチョコですよ」
「一口ちょうだい」
「いいですよ、はい口開けてくださいねー」
「歯医者かよ」



速水とも交換し合って、ふと倉間のほうを見ると…あ、あれ?



「倉間ベリー頼んだの?」
「は?…あ、ああ」
「え、いいなぁ。私さ、クッキーバニラかベリーで迷ったんだよねぇ」
「あ…そう」
「でも倉間は交換嫌いだもんね…今回は諦めるしか「別に嫌いなんて言ってないだろ」…じゃあ一口ちょうだい♪」


倉間が少しだけ顔を赤くしながらスプーンに乗ったアイスを差し出してきたので、それを受け取らずに直接口に含む。
すると倉間が焦ったように大きな声を上げた。


「おまっ、自分で食えよ!」
「えーっ良いじゃん良いじゃん」
「倉間ー俺にもあ〜んして」
「何が悲しくて男に食べさせてやんないといけないんだよ!」
「倉間くん顔真っ赤ですよ」
「うるせぇよ速水!」




今日も楽しく青春青春!




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