dustにある「さあ、にげようか」の続編
「元宇宙人くん、はやく名前ちゃんから離れてくれないかな?」
「何言ってるんだい一人は嫌な吹雪くん。君こそ離れなよ」
やあ、俺は基山ヒロト。誰もが振り返るような美少年だよ、ふふっ。
イナズマイレブンも3期に入って、俺も見事に円堂くんたちの仲間入りを果たした。イコール、名前ちゃんとの距離もぐっと近づいたってコトだね。まあ敵同士だったときも、それはそれで萌えたんだけどねっ
まあ、とにかく俺と名前ちゃんは以前よりずっと仲良くなれた。だけど、まだまだ俺たちの間には壁が立ちふさがっている。…そう、この吹雪士郎という壁が。
名前ちゃんの幼馴染か何かしらないけど、ベタベタしすぎなんだよ。どうせ名前ちゃんは俺を選ぶにきまってるんだから、さっさと諦めたらいいのにね!
俺がそう言うと、吹雪くんは真っ白な肌を赤くして怒り狂う。
「君こそ名前ちゃんに近づきすぎなんだよ!基山くん菌がうつるでしょ!!」
「菌って酷いなぁ…それに君こそ名前ちゃんに吹雪くん菌がうつったらどうするんだい!!」
「き、菌って…!失礼な!」
「先に言ったのは君のほうだろう」
「ちょ、ちょっと二人とも止めなって!」
そこへ名前ちゃんの登場。相変わらず可愛いなぁ。
俺がうっとりしていると、急に吹雪くんが俺の両目を塞いできた。
「ちょ、何するんだい吹雪くん!!」
「穢れる!名前ちゃんが基山くんの厭らしい視線で穢れちゃう!!」
「な、失礼な!だったら…!」
俺は吹雪くんの指の隙間から僅かに見える視界を頼りに、吹雪くんが俺にしたように彼の視界を塞ぐ。
「何するんだい!!」
「そっちが先にやってきたんだろう!」
「僕は名前ちゃんのためを思って!」
「俺だって名前ちゃんのためを思ったんだよ!」
「君のは名前ちゃんのためにはならない!」
「それはこっちのセリフだよ!」
「うるさいうるさいうるさい!」
「うるさいのはそっちだよ!」
「何を〜!?」
「ちょっとちょっとちょっと!!!」
お互いの視界を塞いでいた俺たちの間を引き離すように名前ちゃんが入り込んでくる。
彼女はため息を吐きながら頭を抱えた。ああ可哀想に俺の可愛い可愛い名前ちゃん。待ってて、吹雪くんなんてすぐに退治してあげるからね!
「待ってて名前ちゃん、基山くんなんてすぐに退治してあげるからね!」
「なっ、それは俺のセリフだよ!」
「だから!…はぁ、もう。…誰かどうにかしてよこの二人…」
「ヘッ、ざまーねェな」
「不動くん笑ってないで助けてよ…」
「やなこった」
「「不動くん俺/僕の名前ちゃんと勝手に会話しないでよね!!!」」
ゲッ、吹雪くんとセリフが被ってしまった。お互いに顔を顰めていると、名前ちゃんが再び大きなため息をついた。
ああ可哀想な名前ちゃん。これは早急にケリをつけないといけないね…。待ってて名前ちゃん!
どうやら吹雪くんも同じことを思っていたみたいで、俺を見てきた。
そして俺たちは同時に名前ちゃんを見る。彼女は俺たちのただならぬ様子を見て、少しだけ驚いたようだった。
ガシリ、ガシリと名前ちゃんの右腕を俺、左腕を吹雪くんが掴む。
「名前ちゃんは、」
「どっちが好きなの?」
俺たちがそう問いかけると、名前ちゃんは気まずそうに目線を泳がせた後、ある一点で視線を止めた。
俺たちが同時にそちらを見ると、宿舎に設置されているソファに寝転がる不動くんの姿が。…え、まさか…
「私は不動くんが好きなの!」
一瞬で固まる俺と吹雪くん、不動くんはいきなり名前を挙げられて、驚きながら顔をこちらへ向ける。
「は…?なんだよ、お前ら…」
「不動くん」
「…どうしてあげようかな」
「は?え、…は?ちょ、ちょっと待て!お、おいじりじりと迫ってくるな!って、お、おい!電気スタンドなんて振り回すな基山!や、やめろ吹雪!椅子持って追いかけてくんな!苗字!突っ立ってないで助けろ!」
尊い犠牲
ありがとう不動くん、君のことは忘れないよ