夏休みの思い出作りに、とマネージャーたちが企画して、海に行くことになった。もちろん監督や先生同伴だから問題はない。

海に着いた俺たちは、とろあえず水着に着替えるため解散になる。
元々短パンの下に水着を着ていたので、すぐに着替えることができ、俺はすぐに砂浜に出て浜野や速水たちと雑談。だけど妙にソワソワする。…原因は、わかってるけど。


俺はチラチラと女子更衣室がある方を見る。…言っておくが、決してやましい気持ちで見てるわけじゃないぞ?…いや、やましい、かもしれないけど…俺が見たいのはアイツの…って!これじゃあ俺、ただの変態じゃねーか!

頭を掻いて雑念を振り払っていると「おおっ」っと歓声があがった。……!!
女子更衣室の方を見ると、マネージャーと先生の姿が。…うちのマネージャーは、まあ、結構レベルが高い。いつもとは違うその(水着)姿に、男たちは見惚れていた。…だけど、俺が見たいのは…。

アイツの姿を探す。すると、お目当ての人物は瀬戸の後ろに隠れていた。…何してんだ、あいつ。
…すると、アイツ…苗字と目が合った。そして、すぐにそらされる。…何だよ。

苗字を観察していると、ある事に気付いた。…アイツ、水着の上にパーカー着てる…。
少しだけ残念だ。…っ、仕方ないだろ?す、好きな奴の水着姿くらい見たいんだよ、馬鹿っ!


アイツも、先ほどから山菜や瀬戸に脱がされようとしているのだが、頑なに断っている。…お前、海に何しに来たんだよ。
…すると女子の攻撃に耐えられなくなったのか、俺たちのほうにきた。…パーカーを着てるといっても、…そこから見える生足が…、やばい。


「やっほー名前。何でパーカー着てんの?」
「だ、だって…恥ずかしい…」
「他のマネは皆水着じゃん」
「み、皆は細いしスタイルいいし…っ」
「えーっ、ちゅーか名前も十分細いでしょ。ほら、脱いじゃえ脱いじゃえ」
「浜野…それ一歩間違えたらセクハラですよ」


俺も速水の意見に賛成、…というか。
浜野はアイツにベタベタしすぎなんだよ。…彼氏でもないくせに。…まあ俺も彼氏じゃないけどさ!

ほら今も、アイツのパーカーのファスナーに手をかけて…って!!!!
ジーっと下ろされるファスナー。すぐに浜野の手によって奪われるパーカー。…一瞬、何が起きてるのか分からなかった。…そして次の瞬間、俺の口から発した言葉は…


「ばっ!何やってんだよ浜野ぉっ!」
「え、何って…せっかく海来たんだから泳がないと損でしょ?」
「そういう問題じゃねえよっ!」
「ああああああ、浜野はもっと考えて行動してくださいよおおお!」
「………」


(こういう言い方も何だが)脱がされてから、ずっと固まっている苗字を見る。
淡いピンク色のビキニ(!!!)で、中央には可愛らしいふわふわのリボン…いつもは服に隠れていて見えない、ラインが…っ!!

顔が熱くなってくるのがすぐに分かった。…っ、か、可愛すぎるだろっ!やばすぎるだろ!…というか、そうじゃなくて!
恐る恐る彼女のほうを見る。…やっぱ可愛い…浜野マジグッジョブ…じゃなくて!あーっ!何か今日の俺おかしい、夏だからって浮かれてんじゃねーぞ俺!「…は」…?

苗字が口を開いたので、騒いでいた俺らは一斉に固まった。


「は…」
「は?どうしたの、名前」
「は…、浜野の…馬鹿ぁっ!」
「うぐっ!」


苗字の拳が浜野の頬にめり込む。うわ、痛そ…じゃなくて!
その場にへなへなと座り込んだ苗字、ビーチに埋まる浜野、慌てふためく速水。…なんだコレ、収拾つかねえ。

とりあえず、俺は座りこんだ苗字に駆け寄った。


「おい、大丈夫かよ…」
「…倉間ぁ」
「!!ちょ、苗字!?」


するといきなり苗字が俺に抱き、抱き、抱きついてきた!!!!???
俺の肌に直接、触れる、その…柔らかい…その、アレが、当たって…っ!!


「ちょ、おい!いきなり何だよ!」
「だって…」
「だ、だってじゃわかんねーよ!」
「は、恥ずかしいんだもんっ!倉間以外に、水着姿見られたくないの…っ」
「は?」
「だから、倉間…二人きりがいいの。ねえ、倉間どこか…行こ?」
「っ!!!…?」

きゅるんと俺を見る苗字…。…な、何かおかしいぞ。…もしかしてコレ、夢か?どう考えても都合が良すぎるし…。
そうか、これは夢だな。じゃあ何をしても許されるってコトだよな?

俺は苗字の手を取り、その場から離れる。目指すは、あの岩場だ。…え?下心丸見えすぎる?悪いか!夢だから別にいいんだよ!
岩場に苗字を連れ込み、俺はその柔らかそうな唇に触れ…そして…










「ちゅーかそろそろ砂から出さないとマズくね?」
「倉間、完全に寝てますよね…大丈夫でしょうか」
「そういう速水もノリノリで倉間埋めてたじゃん」
「んーっ…苗字…岩場…」
「!!(わ、私の夢を見てるの!?)」
「(つーか岩場って、…完璧シモイ夢じゃねーか)…おい、さっさと起こすぞ」



夏だからって浮かれてんじゃねーぞ





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