俺の彼女はとにかくスキンシップが激しい。
いや、俺になら良いんだけど…問題は他のやつにまでちょっかいをかけることだ。…ほら、今も。


「西野空くん今日もお肌すべすべだねぇ〜!」
「昨日パックしたんだよぉ〜、可愛いでしょ?」
「うんうん可愛い!西野空くん超可愛い !」


「喜多くん今日も凛々しいね!だからおでことかさらさらなんだよ!」
「さ、触らないでくれっ…!恥ずかしいだろ。…と、というか凛々しいのとでこがさらさらなのは関係ないんじゃないのか?」
「いや、十分に関係あるよ!喜多くん!」
「そう…なのか?」



エトセトラエトセトラ…
とにかく、名前は彼氏である俺以外にベタベタしまくりなんだよ。チッ、マジ胸糞悪ィ。

嫉妬だなんて心の狭い男だって思うかもしれないけどな、これが毎日続いてみろ。心折れるぞ。



「あ、隼総くん〜おはよう!」
「……ああ」


そして、極めつけは俺以外の奴らに挨拶し終えた後に、俺のところへやってくるんだよコイツは。
イラつくのも仕方ないだろ?…ああ、もちろん何度も注意はしてる。だけどコイツは俺が何故怒っているのかが理解できないらしい。こいつにとってあの激しいスキンシップは挨拶みたいなモンだからな。

でも普通はおかしいだろ?
彼氏でもない男にベタベタ触れるなんてよ。しかも彼氏より優先って…。はぁ、自分で言っててヘコんできた。


…無意識に溜息をついていたのだろう。目の前にいた名前が不思議そうに俺を見てくる。



「隼総くんどうしたの?元気ないね?」
「誰のせいだ誰の」
「え、誰かのせいなの?それはいけないね…。隼総くんを苛めた人に文句言ってあげる!誰?」
「お前だ馬鹿」
「お前?OK分かった!って…え、私?」


はあ、コイツは、ホントに!
少しお灸を据えてやったほうが良いのではないのか?そう考えた俺は名前の腕を掴み、それから抱き寄せる。


「ひ、え…?」
「お前、ちゃんと分かってんのか?」
「なに…が?」
「お前が誰のものか、って」
「わ、私が…?わ、私は私のものだよ」
「そういう意味じゃねーよ馬鹿」
「どういう意…」


物分りが悪い名前の口を無理矢理塞いでやる。隣で喜多が不順異性交遊やら何やら言ってるが全部無視して、俺は名前に深く口付けた。
それから口を離すと、彼女は少しだけとろんとした目で俺を見てくる。そんな彼女の耳元で、いつもより数倍声を低くして囁いた。


「あんま、他の男にベタベタすんなってコトだよ」
「うえ…?」
「ベタベタしたいんだったら、真っ先に俺のところに来い。他の奴は許さねぇ」


体を離し、キッと名前を見ると、彼女は彼女らしからぬ真っ赤な顔で俯いた。





公開不順異性交遊
これでこのじゃじゃ馬も大人しくなってくれれば良いがな





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