(霧野がすごく変態なのでご注意を)





蘭丸がじっとこちらを見つめてくる。しかもニヤニヤしながらというオプション付き。一体何だというのだ。


「いいな、それ」
「な、何が?」
「それだよ、それ。ほら、スカートが少しあがっているじゃないか」
「…え」


蘭丸が指差していたのは私のスカートの中心だった。ズレて、少しだけ上にあがっている。言っておくが、決して下着が見えているわけではない。歩くたびに上に少し上がっていっただけの、大したことのないズレ。確かに見つけたら直したくはなるけど…何がいいのか全くもってわからない。
スカートを直しながらそう言うと、蘭丸はひどく憤慨した様子で説明をしてきた。


「何を言っているんだ!スカートのズレほどエロティックなものはないだろ!下着が見えるのは下品だ、だけど何も見えないのはつまらない。…見えそうで見えない完璧な世界…それがスカートのズレだ!」
「………………はあ」
「…なんだ、自分で聞いてきたくせに興味がないのか?」
「興味がないというか、どうでも良いというか…幼馴染が犯罪者にならないか心配というか…今のは完全にセクハラだろうとか色々考えていました」


ほんっと呆れた、を通り越して心配になってくる幼馴染の霧野蘭丸くん。
彼は中学に入ってから変わってしまった。悪いほうに、とまでは言わないが、昔よりは確実に性質の悪いほうへ。

この前なんて、手帳に何か書いているからマメだな〜と思って蘭丸がいないときに手帳を(勝手に)見てみたら、日にちごとに色が書いてあった。…当然、嫌な予感しかしない。
これが何の色を記録したものか蘭丸に直接聞くのは怖かったから、見てみぬふりをしたんだけど…明らかにアレは私の下着の色だった。




「そういえば…」
「ん?」
「俺は今の今まで重大な仕事を忘れていた。不覚だ…」


突然、深刻そうな顔で頭を抱えた蘭丸を不思議に思っていると、何故だか下のほうが寒くなった。…ああ、…うん。


「蘭丸、警察に電話されるのと私にボコボコにされるのと、どっちがいいの」
「どちらも嫌に決まっているだろ。パンツを見たくらいで怒るなよ、短気だな。短気は損気だぞ」
「うぜぇ」
「今日は白パンか。…俺好みじゃないが、まあ良いんじゃないか」
「何様だよ」
「ちなみに俺の好きなパンツは水玉パンツだ」
「聞いてないよ」


私の華麗なツッコミをスルーした蘭丸は、手帳を取り出して今日のパンツの色を書いた。ちくしょー。



「あのさぁ、セクハラしてて楽しい?一体何が目的なのさ」
「目的なんてないぞ。本能のままに生きているだけだ」
「うわあ、危ないよ。この人すげーっまじで危ないよ。世の女性たち、ご注意を」
「安心しろ、名前。俺はお前以外の女子にはこんなことしないぞ」
「してたらやべぇよ。…というか何でよ」
「好きだからに決まってるだろう」
「…うわあ、私こんなにときめかない告白とか初めてだよ」
「え、お前告白されたこと…あるのか?」
「あー…まぁ、一応南沢さんに」
「あのエロ魔人め!」
「お前が言うな」


ああ、もうワケわかんなくなってきちゃった。
つまり蘭丸が私にセクハラするのは、私が好きだからってわけ?うわあ、全然嬉しくないね。
蘭丸のことは好きだけど、セクハラされるのは嫌だからなぁ。…あ、良いコト思いついちゃった。



「ねぇ蘭丸」
「なんだ?」
「付き合うからセクハラやめてって言ったらどうする?」
「付き合わない」
「……、………………は?」
「名前にセクハラできないくらいなら付き合わないぞ」




水玉パンツ
そう言いきった蘭丸の顔は無駄に爽やかだった




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