ぼくたちの仲間に、とても女性とは思えないような女性(仮)がいます。
それは、名前さんです。彼女とはフェンデルで出会ったんですが、まあ…なんというか、すごく元気というか、やんちゃというか。

ソフィと同じくらいの背丈の彼女は、元気に走り回り、色々なことに興味深々で…ソフィにも妹扱いを受けていますが、彼女はこのパーティーの最年長(24歳)の女性です。少し年下のパスカルさんとは良い勝負ですが、ぼくから見たら名前さんのほうが子供ですね。まあ、ほとんどどんぐりの背比べのようなものですが。



「だーれだっ!」


ドンッ!
いきなり、ぼくの背中に何かが飛びついてきた。だーれだっ!って……こんなことをするのは、一人しか思い当たりませんよ。
はぁ、っとため息をつきながら振り返ると、そこにいたのはやはり名前さんだった。


「名前さん、急に抱きつくのは止めて欲しいとこの前…」
「んー?難しいことはよくわかんない」
「む、難しい…?」
「そんなことよりヒューバート、遊ぼう!」
「…はぁ」
「?ため息なんかついてどうしたんだー?…あ、悩みか!よーしお姉さんに言ってみろ!」


偉そうに胸を張って威張る名前さんに、もうため息すら出なかった。
女性の扱いは元々上手いわけではありませんが…、この人は…扱いづらくて、どう対応していいものか全く分かりませんでした。

この人を女性として見ることは、これから先ずっと無いのだろうな…。…と思っていたのだが…。












ある日の宿屋。
早めの風呂を済ませたぼくは、ロビーのソファーで寛いでいた。すると、ドタバタと足音が聞こえてくる。…はぁ、またですか。…次にくるだろう衝撃に備えていたら、ドンッ!…ああ、やっぱり。



「だーれだっ!」

はぁ、っとため息をつきながら振り返ると、そこにいたのはやはり名前さ…!!!??
ぼくは驚きすぎて、硬直してしまった。…だ、だって…今の彼女は…!

いつもの服装だったが、胸元が開いていて、そ、その…谷間が、見えているというか、…しかも髪は濡れていて、頬も少しだけ染まっていて…っ、風呂上りなのだろうか…、…そ、それにしてもいつもの名前さんとは違いすぎて、驚きすぎて言葉が出なかった。


「うん?どうしたんだ、ヒューバート」
「っ…!名前さんっ!あなたは、なんて格好を…!」
「風呂からあがったんだ。気持ちよかったぞー、今度ヒューバートも一緒に入ろうなー!」

ケラケラと笑いながら言う名前さん。こ、今度一緒に入ろうって…っ!
チラリと胸元に目が行ってしまう。…だ、駄目だ駄目だ…!そ、想像なんてするなはしたないっ!



「ヒューバート…、本当に大丈夫?」


彼女から目を背けると、心配そうな顔で覗き込まれる。
なんでこんな時に限って大人っぽい表情をするんだ、この女性はっ!


ぼくは無理矢理彼女を押しのけて、一目散に部屋まで走った。
意識してしまったら最後。…今度抱きつかれたら、平常心ではいられないかもしれない。





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