私たち四人で行くカラオケは、デンモクの奪い合いから始まる。
今日デンモクを一番に勝ち取ったのは、倉間だった。彼は大好きな最新のポップスを入れて、一番に歌える嬉しさからか、イントロを聴きながらすごくにまにましている。

倉間が歌うのを聞きながら、鶴ちゃんがぼーかろいど?の曲を入れる。鶴ちゃんの歌う曲はどれもぼーかろいどの曲だ。知らない曲ばかりだけど、曲調も歌詞も独特で私は好きだ。
次に入れたのは私。私は好きなアーティスト…とかは無い。誰々のこの曲が好き、というのばかりだからジャンルにまとまりがない。今入れたのはドラマの主題歌だ。
そして、最後の浜野は懐かしのアニメソングをたくさん入れてくる(余談だけど浜野が歌い始めると、鶴ちゃんがやけにノリノリになる)



とりあえず何周かしたところで、カルピスを飲んでいた浜野が提案をしてきた。


「なあなあ、採点とかやってみようよ」
「採点?」
「そうそう!それぞれ自分の一番得意な曲を入れて誰が一番点数が高いか競う…みたいな。あ、勝った人はあとの三人に好きに命令できるとかどう?」


「えーそんなのやだよー…」

という声は倉間と鶴ちゃんの声に遮られた。


「好きに…?」
「め、命令…!?」
「そうそう、例えば…」

何やら三人でコソコソと話した後、三人がゆっくりと私の方を見てきた。心なしか瞳がギラついているような、気…が。
するとその直後、すごいスピードで皆がデンモクに曲を入れていく。


「言っておきますけど、俺…負けませんからね!」
「随分強気じゃねえか速水。けど俺も絶対に負けるか!」
「ちょいちょい、俺を忘れないでよ。ちゅーか俺だって負けないからさ」
「…は?」


何だかいつの間にかよく分からない方向に話が持っていかれている気がする。
え、えっと…とりあえず私も入れたら…いいのかな?

ピ、ピ…とデンモクを操作し、峠本秋美の「まだあなたに恋してる」を入れた。すごく好きなんだよねー。まだあなたに〜こぉいしてるぅ〜
そして5色戦隊のOPを歌う浜野を見ながらジュースを一口飲んだ。…うん、美味い。



浜野89
速水90
倉間88
自分91



「なんでこんな時だけお前が一位なんだよっ!」
「そ、そんなこと言われましても…」
「はあ…こんな結果なんて、あんまりだ…」
「せっかく名前とデートが出来ると思ったのに、惜しかったなー」
「え、デート?」
「バッ、浜野!」
「あ、あわわわ」


浜野が「デート」という単語を口にした瞬間、倉間と鶴ちゃんが浜野の口を慌てて塞いだ。…え、デートって…。どういう事、だってばよ。

私が首を傾げていると、鶴ちゃんが慌てた様子で聞いてきた。


「あ、あ…名前、勝ったんですから命令してくださいよ!」
「なんか速水、Mっぽいぞ」
「元はと言えばお前のせいだろ!」


仲の良い三人を見ていると、こちらまで笑顔になって。
私がクスクスと笑うと、三人は少しだけ驚いたようにこちらを見ていた。


「じゃあ…命令、カラオケ終わったら一緒にケーキ食べに行かない?駅前に美味しいお店が出来たんだ。三人と行きたいなーって思ってて。駄目?」

私がそう言うと、浜野は笑いながら、倉間と鶴ちゃんは少しだけ目を逸らしながら、首を縦に振った。




ぼくらはとりこです
(チッ、二人が良かった)
(デートだよね、コレ。俺的に万々歳な結果じゃね?)
(はあ…ヒトカラで練習しようかな)
(ケーキ楽しみー)




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