2日目の朝。水鳥に叩き起こされて、私の本日の起床時間は朝の5時。
すぐに一階の洗面所に連行され、歯ブラシと櫛とタオルを手渡される。


「さっさと仕度して食堂な!」

それだけ言うと、水鳥は去っていってしまった。たまに思うんだけど、水鳥って私のお母さんみたいだよね。
とりあえず歯を磨いていると、洗面所にエロさ…南沢さんがやってきた。


「なんだ名前、起きてたのか」
「なんだとはなんだ」
「いやな、昨日の夜倉間たちと名前が明日寝坊するかしないかで賭けたんだよ」
「失礼な賭け事だな。で、当たった人は何かもらえるんですか?」
「合宿終わったらアイス奢り」
「うわー、それで私が延々と寝ているほうに賭けたのは誰なんですか?」
「倉間と浜野、あと天城」
「うわーどんまい。というか南沢さんは起きるほうに賭けたんですね、意外」
「他のマネージャーがいるだろ、普通に考えてお前を起こすと思って」
「ああ、そっか」


歯を磨き終えて、顔を洗い髪型を整える。すると南沢さんがスプレーで自分の髪をまとめ始める。毎日スプレーしてるんだ…。
確かに、このスプレーと同じにおいがするよね南沢さん。ということは南沢さんのにおいはスプレー臭ということだ。



「何ジロジロ見てんの?惚れた?」
「いやいやまさか」
「倉間にお熱だもんな」
「っ!」


言葉に詰まった私を見て、南沢さんはニヤニヤしながら顔を近づけてくる。
な、なんで知ってるんだこの男は…!


「何でって…、バレバレだろ。態度的に」
「う、嘘…!」
「まあこのコト知ってんのは俺と速水と霧野くらいだけどな」
「ほ、本人は…?」
「まさか。つーか倉間が知ってたらもっと態度…、いや、何でもない」
「?」
「あーこっちの話。それより飯作りに行かなくていいのかよ」
「あ、忘れてた!」

私は持っていたタオルを肩にかけ、歯磨き道具やらをジャージのポケットにしまう。


「南沢さん、さっきの…絶対に内緒にしていてくださいね!」
「はいはい」
「じゃあまた食堂で!」










「名前は顔洗うのに10分もかかるのか」
「すみません水鳥さま、でも南沢さんがナンパしてきたのが悪いんだ」
「南沢先輩にナンパされたんですか?倉間先輩、お気の毒に」
「名前ちゃん…倉間くんという人がありながら…」
「だから何かにつけて倉間倉間言うの止めてよ!」
「はいはい、早く手を動かすの!」
「はーい」


音無先生に注意を受けて私たちは朝ごはん作りを再開する。
ちなみに今日の朝ごはんの献立は目玉焼きにウィンナーにご飯、昨日の味噌汁の残りに…後はおばちゃんたちが作ってきてくれたほうれん草のおひたし。目玉焼き以外全部おかわり自由だよ。何だか昨日の夜より豪華な気がするんだけど…まあいいか。

私は目玉焼きを焼く係りだった。一人2枚。結構根気のいる作業だと思う。


じゅーじゅーと焼いていると、厨房の入り口から天馬くんと信助くんのコンビがひょこっと顔を出す。


「おはようございます!」
「おはようございますっ!」
「おはよ。言っておくけどつまみ食いはさせないよー」
「そうじゃなくて、何か手伝えることは無いかなって思って…」
「天馬、早朝練は終わったのか?」
「はい!今はみんな部屋でくつろいでいますよ」
「休まずにお手伝いかー、偉い偉い。じゃあ私は天馬くんたちと交代してもう一眠り…」
「待てコラ」
「じ、冗談だよ水鳥さん鉄拳しまって!」
「二人は置いておいて…、じゃあお箸と小皿を並べてきてくれるかな?」
「わかりました山菜先輩!行こう、信助!」
「うん!」



そんなこんなで、目玉焼きを焼き終えた。
すると、盛り付けをしている茜ちゃんに「みんなを呼んできて」とお願いされたので、よっこらしょと食堂の出口へ向かった。




20110808

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