ところ変わって中国地方。
長曽我部のお宝発言のショックから抜け出せないまま、佐助は毛利軍の居城まで来ていた
(一国の主が城を空けてお宝って…)
あれからずっとそんなことを考えていた。
(せめて毛利は普通の人だといいな…)
遠くを見つめながら溜め息を吐くと、下の方が騒がしくなった
なんだ〜?と思い
見ると…緑色の人の形をした物体が屋根の上へよじ登っている。
「………なに、あれ…」
立て続けに起こったわけのわからない出来事に佐助は頭を抑えた
―――――
「元就様!危険ですからお止めください!」
「うるさい。今日は屋根の上で日輪を拝みたいのだ、邪魔をするでない」
「ですが…!!」
「我に逆らうと言うのか?」
サッと輪刀を構える元就に顔を青くする家臣
「…っ!…いっ…いえ、とんでもございませんっ」
「ふん。たかが駒が我に指図するでないわ」
「次にやったら打ち首ぞ」と言い捨てて毛利元就は屋根へと消えていった
―――――
(…あれが…毛利元就…)
屋根に上ってさえいなければ…まぁ普通な感じかな…
「にしても…兜、長くね…?」
ま、特に四国も中国もなにも企ててはいなさそうなので【特に動き無し】と結論付けて甲斐へと戻ろうと枝を蹴ったその時だ
「日輪よ!!!」
「は?!」
思わず振り向くと、夕日に向かって両手を広げている…妖精の姿があった…
いや、紛れもない毛利元就なのだが…
なんか形的に…うん…
「うおっ?!」
あまりの光景に目を奪われ、足下が疎かになっていた佐助はズルッと枝から足が滑った
…が、なんとか手で枝を掴みヒョイッと一回転して枝へと着地する
「ん?今なにか聞こえなかったか?」
「いえ、私はなにも…」
「そうか、ならいいんだが…」
(アハー…あっぶね〜…)
下には毛利軍。
あのまま落ちてたら気付かれてたなー
……恐るべし、妖精。
まだ、なんか「日輪!!」とか聞こえる気がするけど、この場にこれ以上いたらなんか…どうにかなっちゃいそう…。
佐助は無性に甲斐が恋しくなったのだった
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bkm