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それは…俺様が初めて瀬戸内海に偵察に行った時の事だった。







鬼と妖精



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「ったく…大将も旦那も忍使いが荒いこって…」


甲斐の虎
武田信玄の命を受け、
猿飛佐助は四国と中国の動きを探りに来ていた

(とりあえず先に四国に行くか〜)

四国の鬼と名乗る長曽我部元親に…ってか『鬼』って単語に興味が沸いただけなんだけどね〜

(さて、実際はっと…)

佐助は長曽我部の屋敷内が見渡せるような木の上へ降り立った

……が、

(城にしては静かすぎない?)

少し様子を見ても女中の姿しか見られない。
「ん〜?」と首を傾げると海辺の方がざわざわしていることに気付く

なんだ?と思い、移動すると

「「アニキーーー!!!!」」
「うお?!」

地響きが起きるんじゃないかとゆうくらいの雄叫びが聞こえ危うく枝から落ちそうになった

見ると長曽我部の家紋のついたでかい船を囲んで「アニキー!」「アニキー!」と叫んでいる

(兄貴…?)

ジッと見ていると一人の男が船の中から出てきた

その男は船頭までくると碇を担いで片足をかけ集まっている奴等に問い掛けた

「四国の鬼たぁ…何処のどいつだぁ?!」

「「アニキーーーー!!!」」

「そうよ!この長曽我部元親様の事よ!」

「「アニキーーーー!!!」」


一瞬、どこぞの海賊が長曽我部軍の船を乗っ取ったのかと思ったが戦った形跡はないし、「アニキ!」「アニキ!」と言っている奴等を見ると統一性はないが長曽我部の紋が入った衣を纏っている


……認めるしかなかった…

(あいつが長曽我部元親か…)

自分の主達とは全く違うなーと心の片隅で思いながら観察していると下っ端共がぞろぞろと荷物を船へ運びいれている

(……戦か?でもそんな情報はなかったしなー
…しかもなんかそんな雰囲気じゃないんだよね…)


…なんか、和気あいあいとしている。


運び込まれていく荷物は大体が食料だ。しかも量は少ない

あとなんか…釣りざお…?

(なぜ…?)


…と、準備が出来たらしい。長曽我部元親の「出発だ!」の声が聞こえた

(一国の主が何しに海に出るんだ…?)

彼を見ると地図を広げていた
と、なにか耳を疑うようなセリフが聞こえた気がした

「さぁて、今度はどんなお宝に出会えるかねぇ?」

「………は?お宝?」

しばらく呆然と、離れていく長曽我部の船を見つめる佐助だった




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