さすけ





「よしよし、だいぶ綺麗になったな」


もうすぐ旦那の部屋の天井裏か…


よいしょよいしょ、とハタキと濡らしたてぬぐいを持って歩伏前進でずりずりとはたいては拭いてを繰り返しながら移動していく


彼が今掃除しているのは上田城の天井裏である






とある一点に差し掛かれば筒状に差し込んだ光

忍の覗き穴だったりする




…確か客人はいなかった筈だけど覗くだけ覗いておくか
用心に越したこたぁないからね〜




その穴へと徐々に近付いていく佐助














――バンッ
「うわぁっ!?」



―突然、なんの前触れもなく落下した天井板に、思っくそ油断していた佐助はそのままポロリと落ちてしまう






ちょ、顔面から落ちるってどうよ?!
忍なのにダメじゃね!?






まぁ、そこは真田忍隊の長。
身体の柔軟性を駆使し、華麗に着地







『バキッ』
――ズボッ







したかに見えた。






え、今すごく嫌な音した
なにこれー、床がもの凄く近いんですけどー…




それもその筈。
佐助の体は半分よりちょっと上が床を貫いて埋まっている状態だ




…とりあえず、抜けようともがいてはみるものの両足がピッタリくっついた状態のため中々ビクともしない

上に上にと踏ん張っている腕も、その力によって床とゆうか畳がまるで…ちょっと火でもつけて炙りました?並みに面白いくらい壊れていってしまう




どうしたもんか…



クイクイっと身体を捻ってみれば、おお!これなら抜けそうだ!と、手の力加減に気をつけながら捻り続ける









クイクイ














クイクイ












クイク…

「…何をやっておるのだ佐助」

「!!」


抜け出すことに夢中になっていた佐助は人の…しかも自分の主の気配に全く気付かず、ビクゥッと肩を跳ねさせた



佐助にとってとてつもなく居心地の悪い空気が流れる










「あ、あはー、旦那……しっ…忍のや…やることさ…なっ…なんでもありっ…てね…」


噛み噛みながらも辛うじて言葉を発すれば、主の真田幸村は視線を逸らし「はぁ…」とため息を漏らした




「そこの床の修理頼んだぞ。」

そう言って、幸村はさっさと場を離れていく








「…え、費用全額俺様持ちとか言っちゃう?え、俺様が悪いの?」








その後、ブツブツ何事か呟きながら放心している佐助を部下の霧隠才蔵が見つけ、溜め息を吐かれながらも救出された








佐助は精神に999のダメージを負いながらも夜なべをして床を直していたそうな



実は主が開けて隠していた穴とも知らずに…










「佐助ぇ!うるさくて眠れぬぅ!」




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bkm
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