ゆきむら


…―スパーンッ!

「なっ!何事か?!」

襖の開いた音に上田城、城主の真田幸村は飛び起き、反射的に襖を見るがいつもと変わらぬ庭が広がってるだけ

「……?」

寝癖のついた頭を傾げると

なに?!何事?!

と、割烹着を着てお玉を持ったオカン佐助が現われた

「いや、なぜか襖が開いたんだが誰もいなくてな…」

「は!?なにもない?大丈夫!?ちょっと俺様周り見て来るから朝餉ちょっと待ってて!」

「いや…ちょ…」

言い終わるのが先か駆け出すのが先か
幸村の声は届かずにオカン佐助はいなくなっていた


ぐぅー…



バッとやけに響いたお腹を押さえ辺りをキョロキョロする

(…佐助が戻ってくるまで朝餉はお預けか…)

空腹を紛らわすために朝稽古でもするか…と、着替えを始める幸村。



もはや、襖が勝手に開いた事など忘れており、着替えを終えた直後「おやかたさばぁぁあ!!」と叫びながら走って行く城主がいたとかいないとか。




そして、上田城にはいないはずの武田信玄の「ゆきむらぁ!!」とゆう叫びがどこからともなく聞こえたとか聞こえないとか……







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