ケセランパサラン | ナノ
「「父の日フェア?」」
「そそ。ってゆう話しが出てるんだって」
お客さんのいない微妙な時間帯に私たちは客席で昼食をとりながら話していた。
まぁ、他はどうか知らないが、うちの店は片付けとかお客さんに迷惑がかかんなければ基本的に緩い。



「でもオジャいないよ?」
「それに何やんのさ?客もそんな来ねーし…持ち帰りは絶対余るぜ」
「うん。そこを俺たちで考えろってさ」
「「えぇ…」」
マジかよめんどくさいなぁ…とうなだれる私と成実に佐助が苦笑した



「まぁまぁ、決まっちゃったことは仕方ないし、適当に決めちゃってちゃっちゃか終わらせちゃおうよ」
「てか、オジャいないのに勝手にやっちゃっていいわけ?」
「つーかさ、絶対オジャ発案な気がすんだけど…」
「え、よくわかったね成実ちゃん」
「成実ちゃんって言うな!」
「…オジャって実はやりたがりだよね…うちらに丸投げするけど…」

はぁ…とため息をつけば佐助が「そうなんだ?」と首を傾げた

「あ、そっか。佐助はこうゆうの初めてか…バレンタインも母の日もドタバタしててやらなかったしね〜。その前はイベント毎にいろいろやってたんだよ〜」
「なんだかんだで楽しかったよな」
「だねー」
うんうん、と頷き合う私たちに「じゃあさ、去年はなにやったの?」と佐助が口を開いた


「去年は確か…「会社帰りのリーマンを襲撃した」」
「…は?」
予想外の答えにポカンと口を開けたままになる佐助

「指輪してるか判別するのがむずかったよねー」
「だなー、最後は手当たり次第だったなー」
回想しながらのほほんとしているところに、佐助のちょっと待ったの声が掛かった


「襲撃って…一体なにしてんの!?父の日って父に感謝する日だよね?!」
「「うん」」
そんなこと知ってるよとばかりに頷く私と成実。






数秒間、三人の頭上には?マークが浮かび、よくわからない沈黙が続いた



「あー、ぉkぉk。誤解だよ佐助くん。言葉が足りなかった」
なるほどなるほどと意味深に頷く私に二人の?は増えるばかり


「襲撃って言っても襲ったりしてないよ?ちょーっと足を止めて貰って鞄とかポケットとかに店で作った甘さ控えめのクッキーを突っ込んだり押し込んだりしただけなのだよ」
そう説明すれば成実が納得したような顔をする


「否が応でもだから襲撃。題して「父の日突撃大作戦!」」
ポーズまで決めれば佐助はへぇ…と感想を漏らした。
拍手までくれてなんだか恥ずかしくなった

「なるほど…って、あれ?襲撃はどこいったの?」
「結局はどっちでもいいんだよ」
そう言って納得させた後、私はズズズっとオレンジジュースを飲み干した








(今年もこれでいっかー?)
(いいんじゃね?楽しかったし)
(今年は佐助もいるしねー)
(…え(もしかして強制参加…?))
(恒例行事にしたいよねー)

090612




     


back




(92/108)
top


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -