「…私、二人が話してるとこ初めて見た気がする…」
二人とはもちろん、「謙信様はうんたらかんたら」と自慢するかすがと「秀吉だってあーだこーだ」と切り返す半兵衛である
実際、二人の白熱したトークに飽きてきたので榧の外な自分に気づいて欲しいとゆう意味もあったのだが…この状態で期待した自分が馬鹿だった。
(これならいなくなっても気づかなさそうだな…)
そう思い、店内をグルッと見回す
「…元就先輩とザビーとかゆう人のところか…」
よしっ、と立ち上がりそちらに向かった。
「元就先ぱ…」
「…であるからして、次は隣町を攻め、囲んだ後に〇〇町を一気に落とすのだ」
「オー!ナイスアイディーアネ!サンデーアナタ頭良イー!」
「ふん、我を誰だと思っておる」
「…。」
ドキドキ(緊張的な意味で)しながら話しかけようとしたが彼らの怪しげな会話に思わず黙る。
幸い向こうには気づかれてはいないようだ
上げたまま、行き場を無くした左腕をどうしようかとさ迷わせていれば、この場にはいないはずの声に腕を掴まれ下ろされた
「卿はなにをしているのだね?いやぁ、滑稽滑稽」
「え、マスター?なんでここに?」
突然現れたその人に尋ねれば「私がここに来てはいけないのかね?」と逆に聞かれてしまった
「いや、そうゆうわけじゃないですけど、こうゆうざわざわしたところ、あんまり好きじゃなかった気がして…」
その答えにククッと笑うマスター
「いやはや、よく私のことを知っているね。そうだな…卿の言うとおりだ。騒がしい所は嫌いでね…だが、たまにこの騒がしさが恋しくなるのだよ。…しかし…」
そこまで言って一度区切るマスター
「はて、これまた見事なまでに見知った顔ばかりだな…なにかあったのかね?」
「いや、偶然に偶然が重なって出来た状態だと思います」
「…そうか、あらかたそこの見たことがないそやつが原因な気がしなくもないが…卿が言うならそうなのかもしれないな」
お見通しなマスターに、キッパリハッキリ思った事を言えば、どうでもいい様子で納得してくれた
…立ち話もなんなので、とりあえず空いていたカウンターの席に移動する
「おぉ?松永どんやないかい!こりゃまた珍しいのぅ!」
「たまには良いだろう」
「明日は槍でもふるんじゃなか?」
がははと笑うおっちゃんに、マスターは細く笑った
「あぁ、そうだった。ちょっと失礼するよ」
そう言ってマスターが取り出したのは携帯電話。
外に出なくて聞こえずらくないのか?と聞けば、マスターは問題ない。と笑って言った
「あぁ、元気かね?なに、卿等の探し物が見つかったのでね、連絡したまでだよ。場所は島津の居酒屋だ。」
…確かに、相手の話を聞かず、一方的に話すだけなら問題はないなと妙に納得した。
話を聞いていた限りここに来るみたいだが、誰だろう?とキョトンと首を傾げていれば「なに、すぐわかるさ。もしかしたら面白いものが見れるかもしれないよ」とマスターはニヤリと笑った
(……絶対なんか企んでる…)
(おまぁさん、あんまおいの店壊すでなかとよ…?)
(気にする事はない。修理費は私が出すのだから、な)
―ガララララララッ
(慶次っ!)
(げっ、利にまつ姉ちゃん!?)
(前田ぁ!話はまだ終わってねぇ!!)
(まぁ慶次!今度は一体なにをしたのです?!)
090610
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