ケセランパサラン | ナノ
案の定、到着した居酒屋はあの独自のテンションで騒がしく、それは外にいる私たちにも聞こえる程だった


「父さん!」
「来たか…丸、ご苦労であった」

信長が飛びついてきた蘭丸の頭をわしわしと撫でる

「いいですねぇ…私も頑張りましたんで撫でてください信長公!」

それを見た光秀がゆらりと立ち上がり、頭をずずいっと差し出せば、父は懐から取り出したハリセンでスパーンッという爽快感のある音を響かせて光秀の頭をぶっ叩いた

「貴様…車で突っ込んで来た上に、その後も儂と言い合っていただけであろう。何を頑張ったと言うのだ」
「いたたたた…あぁ、ですがそれもいいっ……!!」
「もう黙れよ!この変態っ!」

ふん、と鼻を鳴らす父に対し「ふふふ…あはは…」と恍惚な笑みを浮かべてのらりくらりと高笑いしている光秀兄ぃ。
そしてそれに参戦しようとギャースカ騒ぎ出す蘭丸を私と母は眺めていた



「まったくもう…」
「仕方ないよ〜、あの二人お父さんバカだし」

お酒を飲みながら、呆れつつも微笑んでいる母の横顔はとても綺麗だった

(…お父さんたち愛されてるなぁ…)

そんなことをしみじみ思えば、自分も暖かい気持ちになっていた






「おーい!名無しー!」

母と二人、放っておけばずっとやっていそうな三人を肴に談笑していれば自分の名前を呼ばれた気がして声の主を探す


「名無しっ!こっちこいよ!」

キョロキョロしていれば慶ちゃんが満面の笑みでこちらに向かって大きく手を振っていた



どうしようかな…とチラッと母を見れば「行ってきなさい」と微笑まれたので、こんなに知り合いばっかり…またとない機会だよね〜っと楽しむことにして「行ってきまーす」と席を立った









―――

「おっきたきた!」
「呼ばれたーっ」

周りを見渡せばいつもの面子。
ただ、元親先輩の代わりに片倉さんがいた

「Hey!名無し、楽しんでるか?」
「もちろん!政宗も楽しんでるみたいで何より!」

軽く話していれば片倉さんにイスを勧めてくれた


「それにしても片倉さんが政宗と知り合いだとは思わなかったなぁ」
「あぁ、俺もだ。織田が政宗様と知り合いだとは、な」

イスにお礼を言いつつ話しかけてみれば、片倉さんはふっと軽く笑って返してくれた





「島津殿ーっ!焼おにぎり追加でござるー!」
「てめぇ幸村!何個目だ!?落ち着いて食いやがれっ!っと、んなことはどうでもいいんだ…。さっきっから気になってたんだけどよ、お前ら知り合いなのか?」


政宗のその問いに私たちはコクリと頷いた










(んー、仲間…ですかね?)
(あー、あぁ…?)
(なんだそりゃ?)
(なになにー?名無しちゃんって小十郎さんと知り合いだったのー?)

090604




     


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