「アーウチ!?」
空から影が差したと思えば、居酒屋のちょうど真上にある高台から自転車らしき物体が落ちてきて人を…たぶん三人乗せたままザビーの顔面スレスレにドーンッ!と着地した
倒れなかったのはハンドルを握っている人の足の踏ん張りだと思う。
なんかぷるぷるしてるし
上を見れば、なんか見たことのある…あわあわした男の人がひとり、こちらを肩で息をしながら見ていた
「あれ、秀吉じゃないか、こんなところで何やってるんだい?」
「半兵衛…お前こそなにをしておる」
荷台に落とされないようにしながらもちょっこり座っていた半兵衛が秀吉に気づいて声をかければ、秀吉は険しい顔をした
その表情から心配オーラが滲み出ているのはきっと今は半兵衛にしかわからない
半兵衛は少し苦笑しながら困った顔で「僕は答えられないから元就に聞いてくれ」とそっと自転車を降りた
「アナタ達!ワタシノ友情確認ヲ邪魔スルナンテ何者ネ!?」
「ふん、我は日輪の申し子なり!怪しい奴め…そっこく此処から立ち去るが良い!!」
構えたザビーに名乗りを上げた元就先…輩…、いや…太陽好きなのは知ってたけどさぁ…
「あれ…三年の毛利だよな…?」
政宗の呟きに慶次が「うん。いやぁ、なんか楽しそうな人だね!」と軽く笑いを浮かべながら、こくりと頷いた
「アーラヤダ、コノ人照レテルノネ!」
「そんなわけなかろう!!」
「まぁまぁ、元就…少し落ち着きなって」
「貴様は黙っておれ!この留年がっ…」
半兵衛が元就に落ち着けと声をかければ予想以上に熱くなっていたらしい元就が、やっべ、口滑った!的な表情をして口を手でおさえた。
対して半兵衛は特に変化は見られなかったが…しかし、気温が2、3℃下がったのは確実にわかる。
半ちゃんの、いつもの笑顔なのにどこか違う…その凍えそうな笑顔には「なに?もう1回言ってごらん?」と書かれているように思えた
「ケンカ良クナイヨー?ザビーガ愛ノ歌ウタッテアゲルー!」
空気が読めているのかいないのか、ザビー様は「ザビザビザビザビザー!」と歌い始めた。
そのおかげかどうかはわからないが、周りさえも息を呑んだ緊張感が一気に和らぐ
「なんだこの歌は…頭が痛い…」
「フフフ、良イ調子ネ。ワタシト一緒二歌イマショー!」
その歌声に頭を押さえる元就とノリノリのザビー。
「くだらない。」と半兵衛はふん、と鼻をならした
「…だが、何故こんなに懐かしい…」
「「「え…?」」」
ぽつり、元就から出た一言に、その場のおっちゃん以外の全員が固まった
(アナター、今日カラザビー教ノ幹部ネ!)
(我を幹部…?なかなか見る目はあるようだな)
(はっ?元就?!)
(元就先輩!?)
(アナタ、今日カラサンデート名乗リナサーイ)
(よかろう。貴様の歌、我が整えてやる)
090602