「…元就…、本当にこっちでいいのかい?」
「……我が道を違えるとでも…?」
元就と背中合わせに座っている半兵衛がポツリと聞けば、少しの間が空いた後、ふんっと鼻を鳴らして答えた
「いや、こんな急な坂があったかなと思ってね?」
三人分の体重の自転車を全力で押しながら走って汗だくの元親の舎弟を見ながら、腑に落ちない半兵衛が口を開くが、元就は聞いていないのかあえてなのか、漕いでいる舎弟を叩きながら「もっと早く走れぬのか貴様らは!!使えぬ駒よっ!」等の文句を言うだけで、舎弟の「「すんませんっ!」」以外なにも聞こえなかった
―――
「む?謙信か?」
「…あなたは…きぐうですねしんげん。このようなところでなにを?」
ガラガラガラと近付いてきた音。
声を掛けられて振り返ればそこにはスケボーに乗った信玄がいた
「いやぁ、買い物帰りにお市に会ってのぅ…お主が河童を追いかけて行ったと聞いて面白そうじゃった故、儂も混ぜてもらおうかと思っての!」
「なるほど。・・・ふくろのなかみはおさけですか」
「取り寄せたのがようやく来ての。どうじゃ一杯」
「それはいいですね」
ははっと他愛もない会話をして謙信の視線がスケボーへと移った
「…すけーとぼーど、ですか」
「うむ、なかなかに便利じゃぞ!」
ポツリと呟いた謙信に、信玄はニカッと眩しく笑った
「…せなかにもしょっていますね」
「あぁ…慣れてきたんでな、2つ乗りを試してみたんじゃが…もう少し鍛錬が必要じゃな。」
乗れなかったんで背中に担いである!っと、むぅ…とうなだれる信玄に謙信はふふっ…と笑った
「たしかにそうとうなれんしゅうがひつようなようですね…ぷ。しかしたのしそうだ」
「ほぅ…興味を持ったか、お主もやってみるか?一台余っててのう…」
「よろしいのですか?」
「あぁ、おまけで付いてきたからの」
「ではおことばにあまえて」
信玄が「乗れるのか?」と聞けば「あなたができたんです。わたくしにできないわけがありません」と返された
「はっはっはっはっ!言ってくれるのぅ!謙信よ!」
豪快に笑う信玄とふふっと笑う謙信。新しい遊び道具に((なんで走ってたんだ?))と河童のことなど忘れかけた瞬間ドーーンッと破壊音がした
(…む?)
(お、おお!おやかたさむぁああ?!何故ここに!)
(え、何?旦那お館様召喚しちゃったの?)
(かすが、ぶじですか?)
(はい!謙信様!)
(ひゅー妬けるねぇ…)
090529
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