ケセランパサラン | ナノ

「危ねぇ!!」
そう聞こえた途端、突然の浮遊感に襲われた。

…ガガンっと響く鉄の音。
その後、父の声ともうひとつ…男の人の声。
二つの怒鳴り声が響いた


「光秀ぇ!貴様、名無しになにかあったらどうしてくれる…」
「おい、長髪野郎…白昼堂々民間人ひき殺そうなんざいい度胸じゃねぇか…前出ろ前だ!」




目を開けていた筈なのに、脳の情報処理能力が追いつかなかったのか、ハッと気づけば下にはコンクリート。
お腹から背中にかけての圧迫感からしてどうやら担がれているらしい。


「お主…なかなかやるのう…」
「テメェこそ悪人面のクセに女助けるなんざやるじゃねぇか」

なにか私の見えないところで二人が顔を合わせてニッと笑っている気配がした



(この声は片倉さんだと思うんだけどなぁ…)

スーツを着た背中を見ていれば、スーパーのビニールが私を担いでいる腕にぶら下がっているのに気づいた





「!!」

バタン、ガチャバタンッとドアの音がしたと思えば光秀兄ぃを筆頭に複数の声が聞こえた

「ふ、流石は信長公…。私の運転を片足で止めるとは…っと、失礼致しました…彼のを入れると二足でしたね…」
「ふん、貴様の運転など亀と同じよ!!」

ふふ、と挑発を含めながら喋る光秀に父はふははと不敵に笑っていた

「ちょっと明智先生!ホントに引いちゃってたらどうするつもりだったわけ!?」
「その時はその時です。まぁ私がそんなヘマをするわけがありませんが」
「いや、だからってさぁ…」
佐助と慶次の抗議の声を飄々と受け流す







「政宗様っ!一体なにをしておられるか!!」
「げっ!小十郎…待て、これは不可抗りょ…!!」

小十郎と呼ばれた彼が、ガサリと私の下にあるビニールをいじったのはわかったが、この位置からでは何を出したのかわからない

(小十郎、ってなんか聞いたことある気がするんだけど…)

「きゃっ!?」

頭の中で記憶を辿っていれば急に走り始めた小十郎さん


「待ちなされ政宗様っ!」

そのまま逃げているのだろう政宗を追いかけ始めたらしい









(わっ!危ねぇじゃねぇか政宗!)
(悪ぃ!)


(…っ!弾切れだわ!!)

090527




     


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