ケセランパサラン | ナノ
「つるぎ、きょうのゆうげはなんですか?」
「はい!今日は…」

言いかけたところで道が騒がしくなる

先を見れば、ふたつの影が前の通りを横切っていった



「?…まつりのよていはなかったはずですが…」

ふたり首を傾げながらそのまま歩いていると、走り去った影とは反対側の道に女性が1人、横たわっている男の頭を膝の上に乗せて座っていた

「おや、あれは…」
「市…?」

人物を認識したふたり…主にかすがが「どうしたんだ?」と近づいて尋ねれば市は走り去る河童を見たという

「なんだそれは…」
「かっぱ、ですか…」
「!…っ、謙信様!?」

そんなのいるわけないと呆れたかすがの横で花が咲く気配を感じ、かすがはドキッとした(心臓に悪い的な意味で)



「そのかっぱはどちらに?」

謙信が聞けば「あっち…」と先ほどの影の進行方向を指をさす市

「いきましょう、わたくしのうつくしきつるぎ。そのせいねんのかたきをうちますよ「あぁ…お待ちください謙信様ぁ!」


隅とはいえ、車道に座り込んでいる市を心配気に振り返りながらも、かすがはスタスタと優雅に歩いているように見えるが速度的には軽く走っている謙信を追いかけたのだった












「む…?」
「長政様…起きた、の…?」
「あぁ…私は寝ていたのか…」

むくりと膝の上から起きる長政



「…市、私は何故こんな所で寝ていたのだ?」

さっきの出来事を覚えていないのか寝ぼけているのか長政は状況を理解できていないようだ

「長政様…覚えてないの…?長政様、大きいカッパにひかれたのよ?」

ちょこんと首を傾げる市

「大きいカッパ?そんなものがいるわけないだろう!まったく」


スクッと立ち上がる長政。なにやら思いだそうと1人悶々していて「長政様の、言うとおりね…ふふ」という市の笑いは誰も見てはいなかった





「む?お主らいったいこのような場所でなにをしておる?」
「!!貴様はさっきの!」

角から曲がってきた信玄が訝しげな顔で市たちを見た

「はて、お主に会ったことがあったかのう?」
「長政様、違う…この人市の先生…大きいのしか合ってないよ…?」

顎に手を当てて長政を眺める信玄。
片手にはなにか重そうなビニール袋
長政には市のフォローが入った






(そ、それは失礼した!)
(構わぬ。して何を?)
(長政様をカッパがひき逃げ…)
(人助けをしたらその不審者に吹っ飛ばされたのだ…くそっ、悪め!)
(上杉先生も…追いかけて行ったよ?)
(…ほぅ?それは楽しそうじゃのう!)

090520




     


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