(や…、やっと…!)
真っ直ぐ、ずっと真っ直ぐ、ひたすら真っ直ぐ走って走ってやっと見えてきた島津と書かれた赤提灯。
店の入り口に立っている人影は父の信長と母、濃姫。
(お父さん!お母さん!)
パッと顔を輝かせて見ればなにやら両手を上げる母。
その手にはなにやら黒く光る銃のような…
(ちょちょちょ、ちょっと待ってよママン!確かに助けは求めたけど殺人してくれなんて言った覚えは…!)
蘭丸、お前一体どんな伝え方をしたんだ?!と1人パニックになっていれば「名無し!避けなさいっ!」と母から声が掛かった。
それと同時にパンッと響く破裂音…
待てよ、確か音が聴こえた時には確か…銃弾、近くにあるんじゃ…なかったっ…け…?
え、…死亡フラグ?
それに避けたとしても後ろの相手に当たんなきゃどっちみち捕まっちゃうのがオチでしょ?!
『ひゅんっ』と何かが頬を掠める
その箇所が熱を帯びているのは私の気のせいだろうか
「アーウチ、イマナニカアタリマシタカー?」
後ろからはなんか呑気な声。
(効いてないよお母さん!!)
そう心の中で思ってはいるものの、実際は一応効果があったらしく、ひるんで動きが鈍くなったザビーにこれは機とバンバン打ち込む母の姿が目に入る
助けてもらってるとはいえ、当たったら死ぬよね!?状態のこっちはたまったもんじゃない。
打ち続けているからには効果があったんだろう。
あうあうと怯んで動けないザビーからどんどん距離を離し、あと数歩のところまで辿り着いた。
「お母さん!もう大丈夫だからお願いっ人殺しだけは…!!」
きっと娘は打たないよね?打たないはずっ!との両手にガバッと飛びつけば「危ない」と父に首根っこ掴まれて離されてしまった
「無事でよかったわ名無し。大丈夫よ、これおもちゃだから」
そういってウィンクする母。
いやいや、無事だけどなんか今ので精神がすり減っておりますわお母様…。
しかもエアーガンだかBB弾だかわかんないけどどっちも結構凶器で武器ですよ?!
見たとこ改造してあるでしょそれ!?
口に出すと怖いので突っ込みたいところを我慢して飲み込む。
「ぬぅ…?名無し、頬から血が垂れているぞ…?」
そう言われ触ってみればぬるっとした感触。
(……またかよ…)
手についた赤い血を見て、とある日の夕食を思い出したのだった
((…おかーさん…))
(貴様ぁ…儂の娘に傷をつけるとは…)
―ジャキ
(お父さん!?違っ…!!)
090518