無駄に広い公園をただただ全力で駆け抜ける。
いささか恥ずかしいものがあるが、あまりにも必死のため、そんなことは思いもしない
「あれ、アニキ!あそこ走ってんの姐さんじゃないですか?」
「姐さんってなんだ…っと、何やってんだあいつ…」
入り口の水道の辺りに溜まっているのは元親とその舎弟達。
名無しとその後ろを走っていく団体を目で追っては揃って首を傾げた
「いやいや、アニキ!追われてるんじゃないですか?あれ、たぶん姐さんピンチっスよ!?」
舎弟の1人が我に返ったときにはもう足音は僅かに聞こえる程度だった
「あっれー?あそこ走ってるの名無しちゃんじゃない?」
「え?…ほんとだ名無しじゃん!ジョギングでもしてんのかな?おーい!」
「…気付かねぇな。つーか後ろのデカブツ・・・と、なんだありゃ?」
「キキィ!」
「なにやら楽しそうでござるな!」
「追いかけてみるか!」
知り合いと言う名の口込みネットワークの恐ろしさを名無しが体験するのはまた別のお話。
―――
「あれ、元就…そうか、君はいつもここにいるんだったね」
図書館の閉館に伴い、半兵衛が外に出ると広場のベンチに元就が座っていた。
「竹中か…ここは日輪がよく当たる場所だからな。我の指定席よ」
元就がそう言ってパラリと本のページを捲ればなにやら騒々しい足音が聞こえてきた
「?…なにかやっていたかな…」
半兵衛が首を傾げるが元就は我関せずと視線を本に落としたままだ
「…、あれは名無しではないか?」
ドタドタと姿を現した足音をちらりと見れば目を丸くした元就。
「え…、…本当だ…」
続いて半兵衛も視界に入った名無しに目を丸くした。
(あとちょっと…!)
(イイカゲン、オウジョウギワガワルイデスヨー!)
((…?))
090512
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