ケセランパサラン | ナノ
「蘭、いつきちゃん、こっちおいで」
「「?」」

帰り道、ふと前を見れば最近よく見かけるから注意しなさいと聞かされた不審者らしき人物。

確かになんか怪しいので2人を呼んでぎゅっと手を繋いだ



特徴
1、聖職者っぽい格好
うんうん

2、河童みたいに禿げてる。
禿げてる禿げてる

3、でかい
いや、小さい…



なんだ、気のせいかぁ
ほっと息を吐き、とりあえずその場から退散しようとなるべく早足で通り過ぎようとすれば…


「ま、まだいた…」

こちらからは死角になっていて見えなかった曲がり角に数人の同じ格好をした人達。


「ね、ねぇちゃん…」
「う、ん…」

同じく注意を受けていた二人も気づいたらしく、ジッとその人達を見ている

「ねぇちゃん、あいつらやっつけたら父さん褒めてくれるかな?!」
「いやいやいやいや、危ないから止めなさい!」


目を輝かせた蘭丸を引きずり、角を早足でスタスタスタッと横切る

(なんかすんごいたくさんいる!?)
(めちゃくちゃたくさんいんべ?!)
「多っ!!」

道を塞ぐようにたくさんいたその人達にびっくりして足を止めた私たち。てか、主に私。

その私たちに蘭丸の大声で気づいたそいつらが一斉にこちらを向く。


「「「ひっ…」」」

なんとゆうかこちらを向いたときの微塵の乱れのなさといい、なんかイッちゃってる目といい、だいぶ怖い


反射的に一歩下がれば背中にドンという衝撃。

「!?」

今度はなんなの!?と少しパニックになった頭で振り返りかけた私の耳に飛び込んできた大声。


「オーウ!入信希望者デースカー?!」


…はい?
鼓膜が破れてしまいそうなそれに顔をしかめつつ、そいつを確認すれば

「でかい…聖職者…」

特徴を全て当てはめた不審者だった
二人を見れば今だ声が響いているのか顔をしかめたままだ

目になにか闘志が見えるのは気のせいだと思いたい



「迷エル仔羊ターチヨー!」
「「ザビー様ぁぁあ!!」」

そいつが手を掲げたと同時にうじゃうじゃたくさんいる聖職者もどきが歌うように叫んだ


そのザビー様とやらが掲げた手が私たちに向かってきたのでこれはヤバいと私は二人の手を引いて駆け出した。
そりゃもう必死に。

「うわぁ!?」
「いつきちゃん!?」

手を繋いだままドテッと転んでしまったいつきちゃんに引っ張られ足を止める

「名無し!奴ら追いかけて来てる!」
「うっそお!?」


軽くいつきちゃんの足を診れば腫れている。
どうやら捻ってしまったらしい。
走るのは無理そうだなと有無を言わさずいつきちゃん抱いて私と蘭丸は再び走り出した







(ねぇちゃん、オラのことは見捨ててくれ!このままじゃ捕まっちまうだっ!)
(そんなこと出来るわけないでしょ!)
(待チナサーイ!)
(名無し!早くしろ!)

090508




     


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