「ありがとうございました」
「あぁ、もう二度とこんなことがないようにな」
礼を言うと、浅井長政というらしい彼はキビキビとした動きで去っていった
その場に残ったのは何やらどんよりとした空気と沈黙。
蘭丸は買い直したジュースを持ったまま俯いていて、いつきちゃんは眉を下げてなにか言いたげにしている
さっきまでの威勢はどうしたんだと見ていれば、いつきちゃんがぽつりと喋った
「ごめんな…、おら達が遊園地行こうって言わなきゃねぇちゃんに嫌な思いさせなかったんに…」
二人して下がった頭を更に下げる
一丁前にさっきの事を気にしていたらしい。
あー、いい弟と妹(違う)がいておねぇちゃんは幸せだよ、うん。
「ばっかだなぁ〜」
私が一言発すれば二人の目が私を見た
「子供はそんなこと気にしなくていいの!」
ふんっと腕を組んで偉そうにすれば、小さく納得のいかないような声があがる
「…蘭丸もいつきちゃんも、遊園地楽しみに来たんでしょ?」
あの人たちがいるなんて誰にもわからなかった。だから仕方ないよ?ほら、乗りたいのないの?っと聞けば「ある…」との声。
「じゃあ食べ終わったら乗りに行こう?残りは楽しまなきゃ損なんだから!もちろん私も楽しみます!」
にーっ!と笑えば2人もにーっと笑顔を作った
その後、テンションの元の位置を通り越して上がりすぎた私たちを止めるものはおらず…
「ねーちゃーん!もっと回してくんろー!」
「まかせろー!」
「貸せ!まだまだ甘いんだよ!蘭丸がお手本見せちゃうもんね!」
「「きゃー!」」
『そこのコーヒーカップ!回しすぎです』
「今、そっち行くからなー!」
「いや、待って蘭丸!メリーゴーランドじゃなくてもそれは危な…!!」
「蘭丸、お前さんすごいべ!」
『えー、危険ですので馬から飛ばないようお願いいたします』
(わー…きれいな夕日…)
(だべー…)
(人がちっちゃいぞー!)
((か、観覧車…なんであの箱だけめっちゃ揺れてんの?!))
090507