ケセランパサラン | ナノ
「そう、相手は男の子だったのね」
「…はい」

バイトから帰ってきた私を待っていたのは父のお叱りではなく母、濃姫様の尋問でした
尋問ってほど大袈裟なものでもないけど



「わかったわ、…いい?上総介様には性別はぼやかしとくのよ?」
「りょ、了解デス」

…きっとお母さん、女の子って言っちゃったんだろうな。うん。
そうゆうことになるとお父さん怖いもんね



「夕飯は食べる?」
「んや、いらないー」
「そう、じゃあお風呂入っちゃいなさい」
「はーい」


話も済んだので名無しをお風呂に行かせ、濃はソファへ身体を沈めた


別に言っても問題はないのだが、光秀にバレると厄介なのだ。
その子を襲いに行きかねない(殺人的な意味で)




(あれはいつだったかしら…)

濃は目を瞑って少し昔の出来事を思い出す



そう、あれは確か名無しが小学校だか幼稚園の頃…



「お母さーん!むさしくん家に行きたーい!」

小学校から帰ってきた名無しがむさしくんの家に行くとうるさかったあの日。
ちょうど光秀が遊びに来たのだ。


「こんにちは」
「あら、光秀…」

ばっちりメイクをキメ、
いざ、とドアを開ければインターホンを鳴らそうとしていた光秀がいた


「みつひでおにぃちゃん!」

パッと目を輝かせた名無しがギューッと光秀に抱きつけば珍しく優しい顔で微笑む

「どこかへ行かれるのですか?」

「えぇ「むさしくんのおうちに行くのー!」」

体制はそのままに名無しが光秀の問いにニッコーッ!と笑って答えれば光秀もニコーッと笑った

…後ろになにか黒いものが見えた気がしたけれど。


「その"むさし"とやら…一度お会いしてみたいものですね…」
「いっしょいく?」
「是非。」

妖しく笑った光秀に屈託のない笑みで提案した名無し。


その後は確か剣術勝負になったのだったかしら…
ハラハラしたのを覚えているわ



まったく、光秀もイトコの名無しを可愛がってくれるのは嬉しいけれど…
しばらく男の子が寄って来なさそうで困っちゃうわ



…その時はお嫁に貰ってもいいですよって笑っていたけど…


それは名無しが選ぶことだものね。


















「お母さーん、お風呂空いたよーって寝とる」








(あれ、武蔵だー。そういえば昔コテンパンにされたって人って見つかったの?)
(いや・・、でも俺様はあの二刀流の男を倒して最強になるんだ!)
(名前わかったの?)
(わかんねぇ!!)

090424




     


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