ケセランパサラン | ナノ
目を開ければ、コトコトと鍋の音


(あー、寝ちゃってたのか…)


もぞりと起き上がろうとすれば、丁度ドアをノックする音がした


「あ、起きてた。お粥出来たけど食べれそう?」
「んー、貰おーかな」


布団から出ようとしたら「持ってこようか?」と聞かれたが、動けないほど悪くはないので「大丈夫」と笑った









「美味しい…」
「そう?」

出されたお粥を一口食べれば薄味のくせに味はしっかりついてて、さっぱり喉を通っていく




「なに入れたの?」

今度旦那が風邪引いたらこれ食べさせてやろうと思い尋ねれば「秘密。風邪が治ったらね」とイタズラっぽく微笑まれた。
その顔に一瞬ドキッとしたのは気のせいだ
うん、最初とのギャップのせいだ


(んー、見た目も性格もどこにでもいそうな子なのに、なーんか一緒にいると安心感あるんだよな…)


ふと、彼女が来る前まで、布団には入っていたものの寝れなかった事を思い出す。
人恋しかったのを勘違いしているだけかもしれないが。


「お、食べ終わったね。りんご擦ったけど食べる?」
「うん」


食器を持って立ち上がった彼女は、「食欲はあるみたいでなによりだよ」と笑ってキッチンに消えた


きっと、こうゆう子を家庭的って言うんだろうなと思う



「お待たせー」

コトリと器を前に置かれる


「…あれ、そういえば名無しちゃん…時間平気なの?」
「ん?一応、閉店作業は成実さんに任せたから少し余裕はある」


時計を見ればpm10:30。
任せたと言っても、普通なら家に着いている時間だろう


「親とかは?平気なわけ?」

もぐもぐ食べつつも聞けば「母さんには連絡してあるしー」と返ってきた









「片付けてくるね、」

食べきったりんごの皿を持って立ち上がった名無しちゃんを見送れば、軽い眠気に襲われた










(…寝てる…布団で寝ないと風邪悪化するよー)
(…ぐぅ)
(起きない…なんか掛けるもんないかな…)

090417




     


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