―ピンポーン
片手に武田先生からの紙袋。片手に転送メールで伝えられたビニールから溢れ出る食材の山。
最初こそ嫌々ながらも、こんな時間に大丈夫かな、と気遣ってはいたが、あまりの重量にそんなことはどうでもよくなっていた。
「…はーい?」
「織田。です」
「あ、ありがとー。今開けるからー」
少し間があいて出てきた声に名乗れば、ロックが開いたらしくドアが開いた
(寝てたんかな…)
そんなことを思いながら視界に入ったエレベーターで6階までのぼる
「いらっしゃーい。」
ドアを叩けば部屋着姿の佐助が出てきた。
シワがついてるところを見るとやっぱり寝てたらしい
「インターフォンあるのに」
「え、あ…」
気付かんかった。
「わざわざごめんねー」
「いや、こっちこそ成実ちゃんがごめんねー」
話を聞き出した限りでは、お昼に届けるはずが忘れたんだか用事があってだか来られなかったらしい。
「重いでしょ、ありがとね」
「ん」
手を伸ばした佐助にほいっと食材の袋を渡せばグラッとよろめいた
「ちょ、大丈夫?!なんなら持ってくよ!?」
「んー?平気平気」
いつもと変わらずへらへら笑っているが、ちょっと重いけど女の私が持てる荷物でよろめくんだからだいぶ危ない。
「・・・お邪魔しまーす」
バッと袋を奪い取ってズカズカと部屋へお邪魔した
「あ、ちょ…」
後ろの佐助がなんか呟いた気がするが…まぁ気にしないことにした。
「台所どこー?」
「前の扉入って奥ー」
「りょーかい」
突き進んでいく私の後ろを佐助がついてくる
冷蔵庫に着いて「入れとくよー」と返事も聞かずポイポイと食材を放り込んでいく
「やー、ごめんね」
「いいよ、結構ヘロヘロなんでしょ?熱は?」
「そういや計ってないや…」
ペトッとおでこを触ってみればだいぶ熱い。
「…こりゃないわ」
「あー…冷たくて気持ちー」とへにゃんとする佐助に一応買ってきた冷えピタをベシッと貼り付けた。
(寝てなさい!今お粥作ってやるからっ)
(え、悪(病人は寝てなさい!)…はい)
100416