ケセランパサラン | ナノ
「部屋を出てきたはいいけど…」


広い屋敷のとある廊下。
名無しはポツンと佇んでいた


(んー、まだ追いつけると思ってたのが甘かったかな……よし、一回戻って場所聞こう)

くるっと踵を返してもと来た道を戻り始める。…が、いくら歩いてももそれらしい部屋がない。

話し声すら聞こえない。


「………確か一本道だったはずなんだけどなぁ…。2、3回曲がった気はしなくもないけど」
「なんか用?」
「!?」

んー?と首を傾げれば、目の前の襖がしゃべった。
びくっと身を固め一歩後退る
どうやら中に人がいるらしい


(うん、襖がしゃべるわけないよね…つーか、どうしよう…絶対、私あやしい人じゃん…)


1人焦っていれば、中から足音が聞こえる。どうやら中の人が痺れを切らせたらしい


(どうしようどうしようどうしよう!怖い人が出てきて警察…ううん!こっ…殺されちゃう!?)


―スッ










「「……」」
「なんだ、成実さんか…」
「…なんでいるの?」
「そっちこそ。ここ政宗の家じゃないの?」
「うん。俺、政宗の従兄弟で居候してるんだよね」
「へぇ?私は勉強しに…」
「で、勉強しにきたのになんで俺の部屋の前にいるの?迷子?」
「ち、違うよ!部屋の戻り方と台所までの行き方がわかんないだけだもんっ」
「迷子じゃん!」

ぶっふーっと爆笑し始める成実さん

「わ、笑わないでよっ!初めて来たんだからしょうがないじゃない!無駄に広いしさぁっ」


顔を真っ赤にして言うが笑いは止まらない


「…送ってくよ…ぶっ」
「だーかーらーっ!」









(Ah?名無しは?)
(あれ?竜の旦那のとこにいってないの?)
(…迷子、ふふ)

090407




     


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