「蘭丸一番っ!」
「おらだって負けねーべ!」
「こらっ!お肉は逃げないから落ち着きなさい!」
「…注意もいいけれど、名無しは少し焦ったほうがいいかもしれないね。信長さんと秀吉に全部奪われてしまうよ?」
「え、あっ!!」
本日、豊臣さん一家といつきちゃん。それから光秀兄ぃを招いて庭でBBQをしています。
「半ちゃんはお肉取った?!」
「うん。いただいてるよ」
「…抜かりないね…って取ってないの私だけじゃん!」
周りを見渡してプチショックを受ける。
みんないつの間に…
「よっし…」
袖を捲り、父と秀吉さんの肉が舞う争奪戦に混じろうと気合いを入れる
「…名無し」
「ん?なに、光秀兄ぃ?」
いざ出陣!とゆうタイミングがいいんだか悪いんだかというころで声を掛けられ、振り返ればひょいっと肉と野菜が色とりどりに盛られた皿を差し出された
「…いいの?」
「もちろん。私の分は確保してありますから」
「でも…」
チラッと光秀兄ぃを見る
「これ、生だよね…?」
私がそう聞けば、光秀兄ぃは、より微笑んだ
「えぇ、私としては…もっと血が滴り落ちているほうが好みなのですが…」
いや、そうゆう問題じゃないよね。てっきり自分で焼いて食べなさいとか言われると思ったんだけど、この流れだとこのまま食べろってことだよね?え、なに?いつからバーベキューは生肉を食べるものになったんだ?それともなに?いじめか?
だから変食…じゃなかった、偏食なんて言われちゃうんだよコノヤロー
「…私としては焼いて食べたいかな」
とりあえず網どこだっけなぁ…と思って見渡せば、皿を肉で山盛りにして駆けてくる蘭丸といつきちゃんが見えた
「やい!光秀っ」
「名無し姉ちゃん独り占めだなんてずるいだ!!」
きっと肉が無ければ突進する勢いだ
「ふふ、それは名無しよりも肉を優先させたあなた達が言えることですか?」
「「ゔっ…」」
バチバチとなんだかよくわからない火花を散らす3人
なんだろう…この場にいたら巻き込まれる気がする…
一歩後ずされば、後ろからトントンと肩を叩かれた
「?」
振り返れば半ちゃんが口に人差し指を立てて、にこっとテーブルを指差した
(秀吉さんとことバーベキューやるといつも肉が舞ってるよね)
(まぁ、落とさないからいいんじゃないかしら?)
(あぁ…秀吉の肉さばき…なんて素晴らしいんだ…!)
(あら、上総介様も負けてないわよ?)
((…ここにもなにか火花が…))
090305
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