「お…美味しい…」
「でしょ♪」
渋々と受け取ったお弁当を一口つまめば、その、なんだ…私の表現力じゃ表現しきれないような…どこか懐かしいオカンの味がした。あれ、表現できたや
「うむ!佐助の料理は絶品でござるからな!」
「だなー、まぁ…うちの小十郎も負けてねぇけどな」
「出たな、政宗のこじゅ自慢!」
元親先輩が「このコジュコンめ!」と冷やかせば「っるせぇ!」っと苦虫を噛んだように舌打ちした
コジュコン…?
小十郎さんってゆう親代わりみたいな世話係がいるんだけど、マザコンだと違うからコジュコン。正式名称小十郎コンプレックス。
ヒソヒソと猿飛にいらん解説をして貰っていると、前田さんが「卵焼き頂きっ♪」っと、横から卵焼き君を攫っていった。
「てか、まさか元親先輩がいるとは思ってませんでした」
ふいに話を振れば、ちょっとびっくりしたように目を開いて、すぐに笑顔になった
「いや…よく、つるんでるぜ?名無しが見てねぇだけだろ」
「ですかねー」
あー、先輩…なんで先輩は体イカついのに笑顔が可愛らしいんですか。
ほのぼのした雰囲気を2人で作っていれば「ちょっとちょっと」と、さ…「佐助ね」佐助が口を出してきた
「な、なに?」
「さっき突っ込み忘れちゃったけど、ちかちゃんと知り合いなの!?俺様聞いてないんだけど」
「そ…そりゃあ…」言ってないし…つーか、なんか怖い。
若干引き気味にしていれば伊達さんが「おい、びびってんじゃねぇか」と諌めてくれた。
伊達さん良い人だぁ…
優しさに感動していれば、「で、なんで知り合いなの?」と聞かれた
「元就に絡まれてたところをたまたま通りかかったんだよ、な」
「そうですねー。元就先輩があんなに感情的になるなんてびっくりしました」
「ふーん。でも、それにしては親しげだし愛称呼びじゃない?」
「そ…それは…元親先輩の名字が長いから…」
それに、もしも…あの時、有名人だって知ってたらこんなに親しくはなってなかっただろうなぁ…
あ、でも、元親先輩…兄貴だからどうだろう?
「ま、どうでもいっかぁ〜。お弁当も空になったことだし、約束、忘れないように!」
「…っ!?」
言われて初めて気付いた。中身が空っぽだ。ちなみに箸を持った右手はおかずを求めるようにお弁当内をさまよっている。
……食べた記憶は…ある。
(用事できない限り絶対呼ばないんだからーっ!)
090226
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