閉まりかけた屋上のドアをバンッと勢いよく開ければ、輪をつくってお弁当を広げている人達がびっくりした表情で一斉にこっちを見た
箸を加えている眼帯さん、重箱の中身をガツガツかき込んでいる真田さんと元親先輩。
そんでもって、この間商店街で知り合った前田さん。どっかで見たことあると思ったら…。
そういえば屋上ってこの人達のたまり場なんだった…
まぁ、最早そんなことはどうでもいい。
辺りを見渡すが目当ての人物は見当たらない
確かに入ってったと思うんだけどなー…
「あれー?「名無し、ここにくるなんてどうしたんだ?」…」
「元親先輩…、猿飛見ませんでしたか?」
「猿飛?」
「佐助に何か用事か?」
またなんでそんな奴を探してるんだ的に首を傾げる元親先輩に代わり真田さんが尋ねてきた
ちなみに、元親先輩と言葉の被った前田さんはむすっとしている
「あー…、お弁当とられちゃって…」
「What?…Lunch box?」
「なんと!それは大変でござる!佐助っ!弁当を盗るとは何事だ!」
「まぁ、いないならいいんですよー。じゃあ失礼しますね、へぶっ!?」
くるっと後ろを向こうとすれば元親先輩の「あ…」とゆう声が聞こえたと同時に、ぼすっとなにかにぶつかってしまった。いや、たぶん人だよね…うん。
気付かなかった私もアレだけど真後ろに立ってんじゃねーよ、と心の内で毒づきながら「す、すみませんっ」と一歩下がって顔を上げれば「へぶってなにさ…」と笑っている猿飛佐助がいた。
反射的に「お弁当!」っと声を上げれば「はい」っと普通に包みごと渡される
「……え?」
あまりにも呆気なく帰ってきたそれに一瞬フリーズしてしまった。
「あ、いらない?じゃあ有り難く貰っとくよ?」
「いやいやいやいや、それはちょっと」
じゃあなんでとったんだよ…とゆうツッコミはこの際心の中にしまっておく。
お弁当を魔の手から守り、逃げるが勝ち…と立ち去ろうとすれば「あ、そうそう、美味しかったよ♪ごちそうさま♪」と、声をかけられた
美味しかったよ…美味しかったよ…美味しかった…
「ま、まさか…!」
「うん、中身食べちゃった♪」
「〜〜っ!!」
憎々しげに彼を睨みつければ満面の笑みがそこにはあった
(その代わり俺様のお弁当をあげます)
(じゃあなんで…)
(ただし、そろそろ諦めて俺様を名前で呼ぶこと!)
(……遠慮しときま『ぐぅぅう』…っ)
(ハイ!お1人様ご案内ー♪)
(ちょ…食べるなんて言ってない!)
090225
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