ケセランパサラン | ナノ




昼休みを告げるチャイムが鳴れば、途端に学園全体が喧騒に包まれる

そんな中、私は、ついこの間、担任の気まぐれで行った席替えで勝ち取った窓側の席(といっても一番前。見にくい)からボーッと外を眺めていた

今日は市もかすがもいないのである。

市は朝のメールによると風邪を引いたらしく

かすがはさっきメールが来て上杉先生に用事を頼まれてしまったらしいのだ


とりあえず、お弁当を食べよう。と、包みを開けようとすれば机に影が落ちてきた

「めずらしいね〜。独りでお昼なんてさ」

私が顔を上げたのと、さ…さ…さす……うん。猿飛が口を開いたのは同時だった。

「別に…関係ないです」

今、妥協しなかった?
気のせいじゃないでしょうか

「まぁ、いいや。何?ケンカでもしたのー?」

あはーと笑って私の前から動こうとしない彼にイラッとする

「違います。市は風邪で休みで、かすがは用事です。」
「うん。まぁ、知ってるけどね〜」

はぁ…少し話すだけでこの視線…

てか、知ってんのかよ…つーか、早くどっか行けし…
こちとら朝飯抜きで腹へっとんじゃーっ


ちっ…と舌打ちして顔を逸らせば私のお弁当をガシッと掴んでいる彼の手が視界に入った

「えっ…」

バッと顔を上げればいつの間に移動したのかドアの横でお弁当をプラプラ揺らしながらしてやったり。と、ニヤニヤと笑っている猿飛。

私の昼ご飯!!

「今日朝ご飯抜きだったよね〜」

なんで人の食事情を知ってんのよ…

しかし、ここで追いかけたら更に痛い視線が向けられると思い、お昼を我慢しようと心に誓ってぷいっとそっぽを向いた。

2食抜いたって死にゃしないんだから。
だが、お腹は本能に忠実だった。






ぐぅぅぅう…






瞬間、自分でもわかるくらい真っ赤に染まった耳に飛び込んできたのは「くくっ」と笑いを押さえきれていない猿飛の声だった

「じゃ、お弁当ありがとう名無しちゃん♪」
「〜〜っ!!返せっ!私のお弁当!!」



あははははーっ!っと爆笑しながらドアから走り去っていく彼を、殺意のこもった視線で見送られながら、気持ち泣きながら追いかけた。







((もうやだっ!))
(あははー♪)

090224




     


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