ケセランパサラン | ナノ
「こんにちわー」

今日はバイト先が定休日のため、息抜きにとあるお店を訪れた。
「おや、久方振りだね、名無し嬢。ふむ、疲れているようだな…」
「あー、やっぱそう見えます?マスターは侮れないなぁ…」
「立ち話もあれだ、とりあえず座りたまえ」
「失礼しまーす」

マスターこと松永 久秀さん。
彼の言葉に苦笑しつつ、目の前のカウンターに座らせていただいた。





「いつもので良いかね?」

はい、と答える前に出てきたソレはマスターのオリジナルブレンド。
とても香ばしい香りのする、疲れにも効果的な緑茶である。

最初はびっくりしたさ…
珈琲専門店と掲げてる、見た目レトロなそのお店のマスターから緑茶が出されたんだからっ!

まぁ、そんな思い出は置いといて、一息つくためにお茶を一口飲んだ。



「で、今日はどんな愚痴を持ってきたのかな?」
「いろいろ有りますよ〜」

にやりと笑えばマスターは、ふっ…と笑った






「…もう、ほんと厄年かってくらい最悪な日々でして、猿飛とかゆううちの学校の有名人がバイト一緒になったり、伊達ってゆう人とも…あれは私の不注意だったけど…関わっちゃったり、なによりもっ!」

――バンッ!とテーブルを叩けば「まぁ、落ち着きたまえ」と笑って言われた


「なによりもっ…真田幸村とかゆうどっちが名字だかハッキリしろよって人が盛大に土下座で謝りにきたのが一番の引き金で、その後…怖いケバいお姉さま方にお呼びだしですよっ。ほんと最悪…」


一区切りついたところでテーブルに片肘をつき、私の平凡を返せ…と盛大なため息を吐いた。

「ほぅ…此方としては、どっちが名字だかハッキリしてほしい彼の土下座の理由が聞きたいところだが…ふむ、まぁ良いだろう。…話から察するに卿の鞄から溢れ出ている手紙は、そのお姉さま方とやらにやられたものだね」
「まぁ…」

そう、とうとう手紙の量が鞄の許容量をオーバーしてしまったのだ



「…なに、卿は平凡な生活が戻れば良いのであろう?」
「…戻せるもんなら」

ぽつりと話し出したマスターを訝しげに見る



「…ならば関わってしまったという彼らを盾にすればよかろう。…その取り巻きにどう思われようが元々そやつらは卿の生活にはいなかったものだ」
「……!!」

いや、まぁ…確かに一理あるけど…

「なに、やり方は自分で考えたまえ。どう転ぶかは卿次第だ」
「……」

「私にとって、面白い退屈しのぎになれば良いのだよ。それに…平凡という名の生活が戻れば、彼らはその中に居ても良いのだろう?」

前よりもイキイキしているよ。と言ってマスターはニヤリと笑った









(確かに嫌がらせがなくなりゃそれで構わないけど…)
(欲しいものはいただいて、いらないものはどんな手を使ってでも排除すれば良いのだ)
090220




     


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