「Hey!そこのgirl!」
あ、この声は…
そそくさと場を立ち去ろうとすれば「オメェだよ!逃げんじゃねぇ!」と肩をガシッと掴まれた
「いっ…!?」
「あ、悪ぃ…」
予想外に痛くて、思わず涙ぐみつつ睨みながら振り返れば右目を眼帯で隠したあんまり関わりたくない人が、やっちまった…的な顔をして立っていた
「…なんでしょう、か?」
恐る恐る尋ねれば眼帯さんは「これ、お前のだろ?」と、私の名前が書かれたプリントを差し出してきた。
なんで落としたのに気付かなかったんだ私…
「あ、ありがとうございます」
「Ham…、cuteなnameだな」
……なんてこと言うんだ!!
その声の心地良さになんだか身体が火照った気がした。
……と、同時に周りからの視線の痛さに冷や汗が流れる
とりあえず、この場から抜け出さなければ…
それじゃあ、と立ち去ろうとすれば、そんな私を邪魔するかのように奴が現れた。
「あれー?お二人さん、なにやってんの?」
……そう、猿飛である。
「なに?名無しちゃん顔赤くしちゃって、竜の旦那に変なことされた?」
「Ah!?俺をなんだと思ってんだ猿!!」
ケラケラとからかう口調の猿飛に、怒りのオーラを放つ眼帯さん
(あー…逃げるタイミング失った…)
どうしよう…これから…なんて遠くを見て考えていれば「旦那?」と聞こえた
猿飛の目線を追えばそこには赤い人…「shit…!!「破廉恥でござるぅぅぁあ!!!」叫んだと同時に彼はダダダダダダッと、走り去っていき、猿飛も「えっ?ちょっと!旦那!?」と追いかけて行った。
「……大丈夫だったか?」
「はい、ありがとうございます」
眼帯さんの手によって塞がれた私の耳は無事だったのだが、その所為で眼帯さんはすごく辛そうな顔をしてる
あぁ、見かけによらず良い人なんだ。
なんかモテるのもわかる気がした。
「名乗ってなかったな。俺は伊達政宗。よろしくな」
(え…よろしくするつもりはないんですが…)
(Ahー?猿飛と仲いいんだろ?)
(え、マジ無いです。知り合いレベルですよ)
(………そ、そうか)
090213
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