ケセランパサラン | ナノ




今日は、朝から夕方まで入っているパートさんに急用ができたとのことで、私はいつもより早く15時くらいにバイト先にきていた。

「おはようございまーす」

ドアを開けて店内に入るとカウンターには見慣れた背中。

「あれー?お久し振りですね」
「ん?あぁ…久し振りだな」

後ろから声を掛ければ、オールバックで左頬に傷のある見た目あっち系のその人は、こちらを向いて少しお疲れ気味の声で返事をしてくれた

「最近、調子はどうですか?」
「ふ、まずまずと言ったところか…」

畑は好調なんだがな。ははっ…と乾いた笑いをした彼の趣味は家庭菜園なんだって。
ちなみに、まずまずというのは彼が世話係りをしている悪戯坊主のこと。

「そうですか…愚痴ならいつでも聞きますからね!」
ニコッと笑えば「あぁ、よろしく頼む」と、彼はふっ…と笑った



会計を済ませて出て行く彼を見送っていれば「…そうだ」と言って振り返る
「お前も溜め込むなよ」
「…はい!」

返事をすれば彼は「じゃあな」と去っていった



彼と知り合ったのはよく行くお店。
顔見知りと言うだけでそういえば名前は知らず、愚痴仲間である。
あの人も頑張ってるし、私ももうちょっと自分を変えなきゃ、かな

(また会えるかなー)なんて思っていれば、ドアの開く音と共に「おはよー」と、間の抜けた声が聞こえた









(・・おはよーございます)
(…え)
(……(プイッ))

090212




     


back




(16/108)
top


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -