ケセランパサラン | ナノ




今日はバイトのお知らせ(オジャの分の埋め合わせのため集まることになった)を伝えるために猿飛と話さないとならないんだけど…

いかんせん、周りの視線が痛すぎて機会を伺ってたら放課後になっていた


(いつもは迷惑なくらい絡んでくるのになんで今日に限って話し掛けて来ないのっ…!)

『ガランガラン』
「いらっしゃ『バンッ』…」

少し荒々しくバイト先のドアを開ければ、そこには猿飛がいたので思わず閉めてしまった。

非常に開けづらい。

(これ…自分がやられたらだいぶキツいわ…)

わざわざ話し掛けてきてくれてる辺り仲良くしようと思ってくれてるんだろうけど…

「わざとではないけど…流石にやりすぎたなぁ…」

しばらく取っ手に手を掛けたまま佇んでいるとドアが開かれ反射的にノブを離して後ずさる。

「……おはよう名無しちゃん」

にっこりしてるのに絶対笑ってない気がするのは私の気のせいじゃないだろう…
思わず目が泳いでしまった。

「お……おはようございます…」

……気まずい。

沈黙が永遠に続くかと思った頃「はぁ…」とため息を漏らして猿飛が口を開く

「…時間まで後10分もないし、今のことは心の奥に閉まっといてあげるから、着替えてきなさい」

と、更衣室を指して道を開けてくれた






―――――


「店長、入院だって?」
「あ、はい」

店の戸締まりをしていたら声を掛けられた。

「だいぶヒドいみたいで、長くて半年は入院らしいです」
「ふーん…じゃあそれまで夜は3人でお店まわさないといけないのかぁ…」
「……え?」

いや、キッチンは他に4人くらい居たはずですが…?

「いや、成実以外一昨日で辞めたらしいんだよね」

ほら、シフトにも名前書いてないし。と証拠まで見せられた

「うっ…嘘!?」

それじゃあ必然的に顔を合わせる羽目に…

「ホントホント。お昼にいる人は夜は出れないみたいだしねー」

私のまだ微かに残ってる平凡が根こそぎ取り除かれる可能性が上がるわけですね…わかります








((なんで辞めたし…))
(終わった?家まで送って行くよー)
(え、悪いからいいですよ)
(夜道はなにがあるかわかんないんだからね!送らせなさい!)
(…オカン?)
(ん?今なんか言った?)
(いっ…いえ!)

090206




     


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