病院からは、光秀兄ぃ…もとい、従兄弟の明智 光秀お兄様(笑)に家まで送ってもらいました。
玄関までって言ってたんだけどお母さんに見つかってしまい強制連行され一緒に夕飯を食べさせられてます
光秀兄ぃはお母さんの兄弟の息子…らしい。よくわかんないけど…。
ちなみに、お父さんも光秀兄ぃのことは気に入っているらしく、一緒にテーブルを囲みお酒を飲んでいる。
「帰蝶…腕を上げましたか?」
「あら、そうかしら?」
黙々とのんびり食べていたと思ったら光秀兄ぃは、なんの前触れもなく台所にいるお母さんに声を掛けた。
ちなみに、今日の夕飯は私の大好きなコロッケです!
「えぇ、とても美味しいですよ…特にこの…キャベツの千切r『ヒュンッ』「ひっ!?」おっと…」
『―ドスッ』
キッチンから飛んできた包丁は光秀兄ぃの隣りに座っていた私の頬を掠(かす)めていった。
「なにか言ったかしら・・キャベツの千切りが一番美味しいとかゆう空耳が聞こえたのだけど・・」
いや、千切りすら定かに言えてなかったよママン・・・
顔を出した母はにこにこ笑ったままで逆に怖い。
―ハラリ…
あ、髪の毛…
一部始終を見ていた父は「ふはははっ」と笑うだけ。いや、笑うこと自体珍しいんだけどさ。
「ふふ、冗談ですよ…いえ、もちろんキャベツの千切りも塩で旨味がギュッと締まっていて美味しいですが、他のも格別ですね…」
気付けば光秀兄ぃは何事も無かったかのように食事を続けているではないか。
「あれ…?お母さん、蘭は?」
なんで私が命の危険に晒されなきゃいけないんだと考えていたら光秀兄ぃが来たらギャーギャー騒いで真っ先に犠牲になる弟の蘭丸がいないことに気が付いた。
…なんか気に入らないらしい。
「あぁ、いなかったんですねぇ…道理で静かだと…」
「蘭丸なら塾に行ってるわよ」
もうそろそろ帰ってくるんじゃないかしら…とお母さんが言えば「ただいまー!」と玄関の開く音がした。
いつもなら5秒と経たない内にダイニングの扉を開けるのだが、光秀兄ぃが来ている日は違う。
一瞬静かになり、ダダダダダダッと物凄い勢いで走ってきて壊れるんじゃないかってくらい大きな音を立ててドアを開けるのだ。
『バァァァアン!!』
「やい!変態!なんで家にいるんだ!!」
……やっぱり。
「蘭、静かにせんか」
「あ…ご…ごめんなさい…」
お父さんに怒られて少しションボリしたかと思えば
(お前のせいだ…!)
と言わんばかりに光秀兄ぃを睨んでいた。
「おや?名無し…頬から血が…」
「へ?」
「少し失礼しますよ」
「……………っ?!」
顎を掴まれたと思えば、次に出血しているのであろう頬を舐められ、ぞわっと全身に鳥肌がたった
「ねっ…ねぇちゃんになにすんだ!!変態!!」
「ふふ…お子様にはまだ刺激が強過ぎましたかねぇ…」
にやりと笑う光秀に顔を真っ赤にして怒る蘭丸。
しかし、名無しがフリーズしている一番の理由は…静かに怒りのオーラを醸し出している父…信長が真正面にいたからである。
(光秀、どうせなら泊まって行きなさい。蘭丸君と同じ部屋でいいわね)
(母様…!?こんな変態と一緒なんて嫌です!!)
(そうですねぇ…どうせなら名無しと一緒が…)
(そっ…そんなの許さないんだからな!!蘭丸が姉ちゃんと寝るんだからな!!)
(そうだな…余の部屋でよかろう)
((!?))
090205
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