「あ、おじいちゃん!」
帰り道を歩いていると道路に面した家の縁側に北条のおじいちゃんがお茶を啜りながら座っていた。
「おぉ、名無しか、久しぶりじゃのぅ」
おいでおいでと手招きされ誘われるまま「お邪魔しまーす!」と入り口に周り、ちっちゃい門みたいな柵みたいなのを開けて玄関の前を通り庭へひょこっと顔を出せば、北条のおじいちゃんはニコッと笑って座りなさいな、と軽く自分の隣をぽんぽんっと叩いた。
(あぁ…おじいちゃんは変わらないなぁ…)
おじいちゃんの昔から変わらない仕草や、ゆっくり流れているように感じる時間に最近の出来事を忘れ、私はホッと気持ちを和ませた
―――――
「学校はどうじゃ?楽しいか?」
軽く世間話をしていると、内容が私の学校生活になった
…おじいちゃんとは私が物心ついた時からのお茶飲み友達なのだ!
「うん!楽しいよ!」
その日にあった出来事や、楽しかったこと…おじいちゃんに最後に会った日から今までの事をお団子を頬張りながら話し始める。
基本的に代わりばんこだ。話し終わって「おじいちゃんは?」と聞けば、「そうじゃのぅ…」と立派な顎髭を撫でながら空を仰いだ
―コトンッ
ふ、とその音に自分の横を見れば、先ほどまでは無かった筈の湯飲みが置かれている。
湯気が出ているのを見ると入れたてだろう
「まぁ、飲みなさい」と進められれば、「じゃあ、頂きます」と私は一口、口をつける。
そこから先は5時のチャイムがなるまで他愛のないお喋りをしながら過ごしたのだった。
(そういえば…おじいちゃん、いつもこのお茶ってどうやって出てくるの…?)
(むぅ…それはのぅ…風魔!おい、風魔!)
(…ふーま?)
090128
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