「元親ー!」
「…あ゙ぁ゙?」
「おっと…なんだいなんだい、やけに不機嫌じゃんか」
「あー…ちょっとな」
前を歩いていた元親に慶次が声をかければ、振り返った元親は思わず「ヒッ…」と小さな叫びをあげてしまいそうな目つきだった
「元親せんぱーい!」
「あー?」
「名無しじゃん」
理由と視線を逸らされた慶次が、ほかになんか話題ないかなと頭の引き出しを探していれば間の抜けた声が聞こえた
「あれ、機嫌悪いんですか?」
「腹の居所は悪ぃな」
「それって同じようなもんじゃない?」
「「いや、似てるけど違うん(違げぇん)だよ」」
「…ごめん、わかりそうでわかんないや」
慶次がそう言えば、そこから始まるグダグダトーク
「つーか、おめぇら授業どうした」
「その言葉…そっくりそのままお返ししますぅー。私は自習」
「俺は今来た」
ドーンと胸をはる慶次に「それってどうなのよ…今4時間目だよ…」とツッコミをいれる
「元親先輩は?」
「…俺か?…俺は嫌いなやつの授業だったからな、出てきた」
「「え…」」
なにかあったのかと口を開こうとすれば、それを遮るかのように「悪ぃ、俺今日帰るわ」とふわっと笑い、ひらひら手を振りながら行ってしまった
「…先公になんか言われたのかねぇ?」
「あぁ見えて元親先輩真面目なのにね」
元親の去った後をただ眺めていれば後ろから少し怒ったような足音が聴こえた
「む、貴様ら…サボりか」
「違「今来たんだよねー」一緒にすんなコノヤロウ」
「イデッ!」
にこやかに笑って冗談混じりに私の言葉を遮った慶次の足をギュッと踏みつける
「ふん、まぁそんなことはどうでも良いのだ。元親を見なかったか?」
「ちかちゃん?」
「元親先輩なら帰るって言って行っちゃいましたよ?」
「…あの馬鹿め…」
チッと舌打ちして毒づく元就
「なんかあったんですか?」
きょとんとして聞けば「大したことではない。貴様等は教室に戻れ。じきに鐘が鳴るぞ」と言いおいて元就はスタスタと歩いて行ってしまったのだった
(この負け犬がっ!!)
(イデッ…!?…も…元就…?)
(髪の色がなんだ、言わせておけば良いものを…貴様のせいで気が散った。詫びに付き合え)
090706