「Ahー…つまんねぇ」
「政宗様、お気持ちはわかりますが…あと少しですので辛抱下され」
茶を変えてきます、と部屋を出ていく小十郎
「あと少し、ねぇ…」
政宗は長机の上に積み上げられたふたつの書類の山を見て、心底うんざりしたため息を吐いたのだった
―――
曇り空。
しかし湿気でムシムシしているわけでもなく、涼しい風の吹くちょっと嬉しい天気に名無しは外をうろついていた
(なんかないかなー)
商店街にていろいろ物色してみるが、特に目に止まるものはない
(ひとりでアイスってのも寂しいしなー…それに今日涼しいし)
次に某アイス屋が目に入るが、ギャルギャルした人たちが店の前で騒いでいた為ちょっと引いた
(仕方ない。お母さんにお土産でも買って帰るかな)
と、和菓子屋の前で立ち止まれば「Ahー?名無しじゃねぇか」とよく知った声がした
「…政宗じゃん、ひとりでなにやってんの?」
「あぁ…木を隠すには森の中ってな。名無しこそなにやってんだ?」
「ん?私は暇だったからぶらぶらしてただけだけど」
入り口のまん前で話し始めてしまえば店の人に少し嫌な顔をされてしまったので、とりあえず店の前からズレる
「なんだ、ひとりなのか?」
「政宗だって見るからにひとりじゃん」
「うるせぇな…んなこたどうでもいいんだ。んで、ひとつsuggestion(提案)なんだが…ここにtheme parkの半額ticketがあるんだが…行かねぇか?」
「……今から?」
「YES!」
時計を見れば12時を少し過ぎた辺り。少し遅い感は否めないが、遊園地までここから電車で30分の距離なのでまぁまぁ遊べなくもないだろう。
市民遊園地なのでそこまで人も多いとゆうわけでもない
そしてなにより半額だ
「よし、行く。暇だし」
「そうこなくちゃな!」
二人はニッと笑ったあと駅へと歩き出した。
―――
…丁度その頃、政宗の茶を取り替えた後…ちょいと野暮用で部屋を開けていた小十郎が部屋へ戻ってきてみれば、そこはすでにもぬけの殻だった。
(今日はやけに真面目だと思ってはいたが、やはり油断したのが運の尽きか…)
四分の一にまで減った書類の山を見つめ、何故ここまで終わらせてるのに最後までやらないんだ…とため息をつきながら小十郎は政宗を捕まえるべく家を出たのであった
(んー、この前も来たからな…お土産なににしようかな)
(今日は無事に逃げられそうだな)
090701