ケセランパサラン | ナノ
元親に塀から降ろしてもらった名無しは荒れ果てた“ザビーリサイタルショー”の跡地に駆けつけた

「おいおい、一体何があったんだ?」

倒れている人たちを横目に一歩一歩進んでいく元親に、
その後ろをはぐれないようにタタタとついていく名無し。

「へぶっ!?」
「おっと、悪ぃ…」

人を踏まないよう、下ばかり注意していた名無しは突然止まった元親に頭をドンとぶつけてしまった

そのまま立ち止まって動かない元親を不思議に思い、視線を追えば、そこには呆けて突っ立っている元就が。


「我は一体何をしていたのだ…」
「……、…やっとお目覚めかぁ?毛利元就さんよぉ…」
「…元親、か」


元就は自分に歩み寄ってくる元親を一瞥した後、ふいっと顔を背けた




「…笑いたければ笑うが良い。くだらぬ妄信を鵜呑みにしていた我が弱かったのだとな」
「笑うかよ」
「なに…?」


予想外の答えに振り返った元就は、元親の真剣な声音と表情に、ぐっと声を詰まらせたが、ここで負けるツンデげふんげふん元就ではない。

「…貴様の情けなどいらぬわ」
「はっ!オメェに情けなんざかけるかよ。何年の付き合いだと思ってんだ、あぁ?」
「ふん…そんなこといちいち覚えているわけなかろう。馬鹿か貴様は」


それっきり黙り込んでしまう二人。


遠くで「モウ愛ナンテドウデモイー」
「あああ愛など破廉恥極まりない!」
ドカーン!!
「ちょ、旦那落ち着いて!」
「ふむ、お主の掲げている信念はその程度のものか…儂が根性鍛え直してくれるわ!!」

…こんなやりとりが聞こえた気がした。



「ったく、いつものオメェがいねぇと調子でねぇんだよ」
「…ほぅ?」
「なんかあったら頼れよなっ!これでも幼なじみで親友(とかいてダチと読む)だろうが!!」


そう啖呵を切れば、見る見るうちに顔が赤くなっていく元親

「…臭いぞ」
「っるせぇ!」


そして、すっかり元に戻ったらしい二人のやり取りを見て、名無しはくすっと笑ったのだった








(臭いのはあれだ。この間、腐ったイカが送られてきたからだ)
(なんでもアレは親しい間柄の人間に贈るのだそうだぞ)
(…送り主はお前か…)







090630




     


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