本当になんか騒がしいなと思えば近づくにつれ不快な歌…なんてもんじゃないな。
頭がガンガンするような爆音が響いてきた
「ゔーっ、不快」
「これはこれは…」
簡易…にしてはちょっと豪華なステージの上には堂々と“ザビーリサイタルショー”と掲げられているハデハデな看板。
住宅地でやるな。近隣住民がノイローゼになるぞ、迷惑極まりないよ…うん。
「あまり眉間にシワをよせすぎると後がついてしまいますよ?」
「今更遅いよ光秀兄「どいてくだされぇぇぇええ!!」へ?」
眉間にシワをよせて唸っていれば、後ろから歌っているザビーにも負けないくらいの大声が聞こえた。
後ろを見れば下り坂を猛スピードのスケボーでで突進してくる真田幸村。顔はやや青ざめている気がしなくもない
「はい、危ないから道開けようねー」
「どけったって、こんな狭い道のどこに…って、佐助?」
壁に張り付くしかねぇよと、やや避けていれば突然現れた佐助に塀の上へ座らされた
「いやー、旦那さ…スピード出してはしゃいでたまではいいんだけど、あそこの坂…結構急じゃん?下っちゃってさ…、止めかた…わかんないらしいんだよね…」
幸村が“ザビーリサイタルショー”に突っ込む様を無言でただ見つめていれば、仁王立ちした赤いなにかが、やはり猛スピードで通り過ぎ、そしてやっぱり突っ込んでいった
「そうそう、大将がさ…スケボー二枚乗りに成功したんだけどね、その場所もやっぱり坂でさ…」
「…佐助ってなんで武田先生のこと大将って呼んでるの?」「え、それ今聞く?…うーん、大将は大将だからなぁ…」
無気力に言葉の抑揚も無く、なにかを諦めたように話す二人。
ドカーンとかガシャーンとかうわーとか叫び声とか聴こえるのは気のせいとゆうことにした。
「はいはい、おふたりさん。現実逃避もそこまでですよ」
「んぁー」
「…保健医?なんでいんの?」
目の前で手をパンパン叩かれてしゅるしゅると出かけていた魂を呼び戻す。
佐助は目をぱちぱちさせていた。
「確かアナタは…猿くん、でしたか…」
「いや、違うから、あと一文字足りないから!」
「ふふ、愉しい名だ」
「え、無視なの?!」
「さぁ、私たちも行きましょう。愉しい宴の始まりですっ…!!」
「ちょっと、ねぇ!教師としてどうなのよ?!」
フラリ、フラリ…愉しそうに歩いていく光秀兄ぃの後ろを「ちょっと!」「ねぇ!」「聞こえてる?!」「無視なの!?」「俺様、猿じゃないんだからね!!」と抗議しながら佐助が追いかけていった
(…意外と高いんだよね。この塀…)
(…名無しじゃねぇか、…こんなとこでなにやってんだ?)
(元親先輩いいところに!降ろして!)
090629